インタビュー
» 2017年07月12日 11時30分 UPDATE

ジェイデバイス 社長 仲谷善文氏:日本の半導体後工程受託企業として見据える未来 (2/2)

[竹本達哉,EE Times Japan]
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「競合よりもコスト競争力は高い」

EETJ OSATの競合は、基本的に海外勢となり、コスト競争力が問われるかと思います。

仲谷氏 海外勢に対して、コスト競争力が劣っているとは決して思っていない。むしろ、競合よりもコスト競争力は高いと思っている。

 製造プロセスや材料の見直しを図ってきた。調達に関してはAmkorとの共同で実施し、規模のメリットなども発揮できている。

EETJ 譲受した工場のコストはどの程度、低減できたのですか。

 感覚的には2割から3割程度は、低減できたと考えている。ただし、IDMもわれわれOSATをベンチマーク、研究されているので、IDMの後工程ラインも相応のコスト低減が進んでいるだろう。

EETJ 海外OSAT企業やIDMの内製工場と競って、新規受注を獲得していかなければ事業成長は見込めません。ジェイデバイスとして、どのような強みを打ち出していますか。

リードする車載向けビジネス

仲谷氏 強みは3つある。1つ目はコスト競争力。2つ目は、車載向けで長く培ってきたクオリティー、品質。3つ目は、さまざまなサービスの力。QCD(品質、コスト、納期)全てで強みがあり、一度、われわれを使ってもらえれば、丁寧なモノづくりを評価いただけるはずだ。

 こうした強みを背景に、海外を含めて車載向けビジネスを強化する。同時に、日本の顧客向けサービスを強化しAmkorを含めて受注拡大を図る。この2つを推し進めて、総合的な事業成長を目指す方針を掲げている。

EETJ 車載向けにおけるジェイデバイスの現ポジションはどの位置にあると分析されていますか。

仲谷氏 競合に対し、一歩リードできている。(車載信頼性試験規格である)AEC規格の対応ロードマップなどを見てもらえれば、理解いただけるだろう。

 ご存じの通り、車載向け半導体で実績がある工場を譲受しており、元々、高いレベルのノウハウを有している。ビジネス規模もジェイデバイスの売上高50%超は、車載向けで、Amkorグループとしては合計1000億円程度の車載向けビジネスを展開している。OSATとしては、最大規模だ。

 各OSAT企業も、車載向け領域は成長市場であると認識し、競争が激しくなっているのは事実だ。ただジェイデバイスでは、組み立てだけではなく、ファイナルテストまで一貫して受託する「ターンキー」を国内や欧州向け案件で提供できている。ファイナルテストは、設備や高度なノウハウが必要で、なかなかOSATに任せてもらえない工程であり、ターンキーを提供できるOSATは貴重といえるだろう。

海外ビジネス拡大へインフラ整備

EETJ コスト競争力、品質と並んで強みに挙げられているサービスについては、そのようなものを提供しているのですか。

仲谷氏 日本の顧客向けには、当然ながら、立地、言語などの面で海外の競合OSATよりも優位にある。一方で、海外顧客向けのサービスについては、これからの課題だと認識している。Amkorの営業、サービスリソースの活用はもちろん、ジェイデバイスとしては工場レベルまでの語学力アップなど基本的なところから早急に海外向けのサービスインフラを整備していきたい。

EETJ 11の製造拠点は全て国内にあります。顧客、特に海外の顧客からは地震など事業継続性などの面で不安視されませんか。実際、2016年4月には製造拠点のある熊本で大きな地震が発生しました。

仲谷氏 当然、顧客は地震対策などを気にされており、過去の被災経験を生かした対策を講じている。

 2016年4月の熊本地震は、想定される最悪レベルの直下型地震が熊本の拠点(熊本県大津町)の真下で起こった。ただ、熊本拠点の製造ラインは最短で2週間、最長でも4週間、平均して3週間で再稼働にこぎ着けた。最悪の状況でも、このような早期復旧を果たせた点は、評価いただけたと思う。今回の被災でも、新たに対策が必要な点も見つかった。対策を講じ、さらに地震に対して強くなれるだろう。

十分な規模を確保し成長へ

EETJ 中期的な売り上げ目標をお聞かせください。

仲谷氏 明確には定めていない。ただ、M&Aは別として、有機的な成長だけで2020年ごろに売上高1500億円達成ということもあり得るという認識だ。

EETJ これまでM&Aを繰り返し、事業規模を拡大されてきました。今後の成長を実現するためにも、M&Aは不可欠でしょうか。

仲谷氏 常に良いM&Aの案件がないか探してはいるが、成長のためにM&Aが不可欠だとは考えていない。

 まだ協力工場だった時代の1999年に、台湾の後工程工場を視察し「規模が大きくなければ、生き残れない」と強く感じ、IDMメーカーに対し、OSATモデルへの理解を深めつつM&Aを進めてきた。ただ、現在のジェイデバイスは、OSATとして生き残るための最低限の規模は、ゆうに越えている。現在の11拠点だけでも増産投資で、売上高を少なくとも1.5倍に高められる余力もある。

EETJ 日本の半導体産業の衰退が叫ばれて久しいです。主に国内の半導体メーカー向けにビジネスを展開されている中で、不安はありませんか。

仲谷氏 日本の半導体産業が振るわないというイメージは根強いが、実際は異なる。足元を見ても、急速に国内半導体メーカーの業績は回復し、車載向けを中心に当社の受注も好調。そんなに悲観していない。

 戦略的に海外顧客向けビジネスの強化を打ち出し実行していくが、国内ビジネスを海外ビジネスに置き換えるわけではない。国内ビジネスも成長させていく。われわれにとって、日本の半導体産業が拡大することが、成長への近道だ。

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