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» 2017年07月11日 11時30分 UPDATE

“異端児エンジニア”が仕掛けた社内改革、執念の180日(14):「部門ごとにファイル名が違う」はあり得ない! 必要なのは業務の“共通言語化”だ (3/4)

[世古雅人,EE Times Japan]

業務の名称、部門ごとに違ってませんか?

 「業務の棚卸しの失敗例『(3)業務名称、ドキュメント/システム名称などに整合性がない』を見てみましょう。例えば、湘エレ社内で下記のような会話が社内で耳にすることはありますか?」

  • 独自用語が多いよね
  • 言葉の定義が曖昧で誤解や勘違いが少なくない
  • ドキュメントやデータの名前の付け方が職場ごとにバラバラなんです

 「これらは、業務の棚卸しにおいては、“たかが名前”なのですが、棚卸しそのものが全部やり直しになる事態を招く大きな要因の1つです。既に、業務フローまで完成して、さらにシステム化にする。この段階でトラぶる要因にもなりがちです。図3をご覧ください。

図3:名称は「共通言語化」する必要がある

 「須藤さんたち開発部門では、『仕様書』はごく当たり前に耳にしますよね。例えば、業務の棚卸しで、Aさんは『ソフトウェア基本仕様書を受領する』と書きましたが、同じ仕事においてもBさんは『仕様書受領』としか書いていません。従って、Bさんにおいては『仕様書を受け取ったことは確かだが、何の仕様書か分からない』ということになります。

 『請求書』以下の項目についても同じ事が言えます。何に関する請求書なのか、何をチェックするためのリストなのか、何の報告書(クレーム、不具合是正、出張、調査など)なのか、何の集計表なのか。何も意識せずに使ってしまうドキュメント(文書・帳票類)ほど、業務フロー上で必ずやりとりが発生する(=部門間を行き来するドキュメント)のに、表記がバラついていたら、ミス・トラブルの要因になってしまいます。

 同様に、データやデータを吐き出す・加工するシステムの名称も重要です。では、どうすれば良いかですが、まず、ドキュメントやデータを全て書き出し、一覧表にまとめます。次に、まとめたものをまずは部門内で共通認識し、共有します。

 実際にやってみると、口で言うほど簡単ではないんですよ。例えば、あるドキュメントをA部門は『A』と呼んでいるけれど、A部門の後工程であるB部門は、同じドキュメントを『A’(Aダッシュ)』と呼んでいたり、『B』『C』と好き勝手に名前を付けていたりします。しかも、そのままファイル名称も同様にして、サーバに保存してるんですね。

 このような状況で、A部門とB部門が協力して一気通貫の業務プロセスを作った場合、見ている対象物が異なる(異なった解釈をしている)ため、後に問題となる可能性が高いです。たかがドキュメントの名称ですが、仮にどちらかにそろえようとなった場合でも、お客さまへの提出物の名前まで変わってしまったり、社内文書の変更通知が必要になったりするなど、A部門とB部門の間でもめることも少なくありません。ドキュメント名1つですら、部門内と部門間の両方できちんと『共通言語化』しておく必要があるのです」

須藤(技術部設計課):「確かに言われてみれば、何でも、“図面”と“仕様書”で通してしまっているよなぁ」

大森(同上):「僕なんか、製造部からの問い合わせがあって、回路図を見ながら指示していたんですが、実は製造部が見ていたのは、回路図を元にして生産技術部が作成した組立配線図だったんですよ。それで、結局間違った指示を出してしまって。お互い、全く同じ図面を見ていると思い込んでいたんですよね」

楢崎(製造部主任):「それは、都度ちゃんと図番を確認するようにすれば間違えないのでは?」

須藤:「いやいや、そうとも限らない。開発が書く図面は設計変更などが入った場合、版数を上げるでしょう。そう改版だ。その時、美雪ちゃんの庶務課からは図面の差し替えが製造に行くよね?」

神崎美雪(技術部庶務課):「はい、庶務で版数管理をしているので、控えをとって、製造や生産技術など関連部門に差し替え図面の案内をしますけど……」

須藤:「そうだよね。けど、結構、製造部では改版した図面ではなく、初版のままの図面でやっていることが多いじゃん。CAD出力図面に赤ペンなどであちこちに手書きがされているよね」

楢崎:「だって、われわれ製造部は開発の図面だけで全部、モノが作れるわけじゃないですから。間違えやすいところや注意すべきことは直接CAD出力図面に記入しています。改版があった場合でも、われわれからすれば、初版に手書きであれこれと情報が書き込まれている図面のほうがうんと重要なんです」

若菜:「まぁまぁ、そのへんで……。図面や仕様書が何を指しているのか、いつの時点のものなのか(版数など)、それによってトラブルになることもあるわけですよね。同じように、データやファイルの名称でも起こり得るということを覚えておいてください」

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