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» 2017年07月26日 10時30分 UPDATE

光集積回路の大幅な省電力化へ:光損失10分の1、変換効率5倍の半導体光変調器

東京大学と技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)が共同で、従来のシリコン光変調器に比べ光損失が10分の1、変換効率が5倍の半導体光変調器を開発した。

[辻村祐揮,EE Times Japan]

シリコン光集積回路の大幅な省電力化と小型化へ

 産業技術総合開発機構(NEDO)、東京大学、技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)は2017年7月25日、従来のシリコン光変調器に比べ光損失を10分の1に低減し、5倍の効率で電気信号を光信号に変換できる半導体光変調器を、東京大学とPETRAがNEDOプロジェクトにおいて共同で開発したと発表した。

 東京大学とPETRAの研究グループは今回、アルミナ(Al2O3)を介すことでシリコン光導波路上に薄膜のInGaAsP(インジウムガリウムヒ素リン)を貼り合わせ、InGaAsP中の電子に誘起される屈折率変化のみを用いた光変調動作の実証に成功した。

 InGaAsPの電子屈折率変化は、シリコンの電子屈折率変化より10倍以上大きいが、正孔の光吸収による損失が大きく、従来の技術では電子の効果のみを引き出すのが難しかった。だが、ゲート絶縁膜となるアルミナを介し、InGaAsPをシリコン上に貼り合わせた光位相変調部を実現したことで、電子の効果のみを用いた光変調が可能になった。

光変調器の光位相変調部の素子構造図 出典:NEDO

 この光位相変調部では、シリコン層とInGaAsP層の間にゲート電圧を印加すると、InGaAsPとアルミナの界面に電子が蓄積し、界面近傍の屈折率が減少する。これにより、入力された光の位相が変調し、電気信号が光信号に変換されるという。

光位相変調部の断面構造図および導波路に閉じ込められた光の電界分布 出典:NEDO

 新構造の光位相変調部を開発した結果、従来のシリコン光変調器に比べ、光損失を10分の1に抑制し、変調効率を5倍に向上できた。また、多値変調による100Gビット/秒の高速変調でも良好な光信号を獲得するのに成功した。

 東京大学とPETRAによる今回の成果は、シリコン光集積回路の大幅な省電力化と小型化につながり、データセンターの高性能化や省電力化に道を開く。また、次世代光ネットワークに欠かせない光スイッチや自動運転車で必要となるレーザースキャナーなど、幅広い応用が期待できる。

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