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» 2017年07月31日 09時30分 UPDATE

LPWAの普及は進むも:予想より遅いIoT市場の立ち上がり、課題はコスト

IoT市場の成長は、着実に進んではいるが予測よりも遅いようだ。課題の1つはモジュールなどのコストだと、市場調査会社は述べる。

[Rick Merritt,EE Times]

市場成長のスピードは予想よりも遅い

 IoT(モノのインターネット)の普及は予想されていたスピードでは進んでいないが、部品の統合とネットワークの低消費電力化の結果、着実に成長している。台湾のAndes TechnologyがIoTゲートウェイなどの用途に向けて発表した4つの新コアなど、新しいIoTチップがIoTの普及を促進すると期待される。

 米国の市場調査会社であるThe Linley Groupの主席アナリストであるMike Demler氏は、同社が開催した「Linley IoT Hardware Conference 2017」(2017年7月25〜26日、米国カリフォルニア州)で、「IoT市場の出荷数は、2019年までは年間10億個に達しないだろう。だがその後、コストの削減と使いやすさの向上によって、消費者市場で産業分野を凌ぐ勢いで普及が進み、2023年にはIoT市場全体の出荷数は23億個に拡大すると予想される」と述べた。

 Demler氏は、「予想よりも成長が遅れているのは、コストの高さと、チップの統合や相互運用規格の策定が進んでいないことが原因だ」と指摘する。だが、こうした点は今後2年間で改善されると予想されることから、「IoTデバイスの出荷数はすぐに倍増する見通しだ」(同氏)という。

 産業向けIoT(IIoT)は現在、IoT市場の57%を占めていて、2017年末にはIoTデバイスの導入数は約16億個に達する見通しだという。しかし2023年には、消費者市場がIoT市場の72%を占め、デバイス数は103億個に上ると予想される。このうち、スマートホームに70億個のIoTデバイスが採用されると推定されるという。

2023年までには、民生向けIoT機器の出荷数が産業用IoT(IIoT)機器の出荷数を上回ると予想されている 出典:Linley Group

 同氏は、「モノを無線ネットワークに接続する技術は難しく、高い信頼性を確保する必要もある。このことが、IoTの成長を阻んでいる」と指摘している。

 スマートビルディングは、消費者向けIoT市場第2位の分野で、推計25億個のデバイスが導入されている。スマートビルディングに続く分野はコネクテッドカーとスマートファームで、それぞれのデバイス数は約10億個である。ウェアラブルデバイスとスマートファクトリーは、それぞれ約3億個と1億5000万個と推定される。

LPWAの普及が進む

 LTE Cat-MやLoRa、SIGFOXなどLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークの登場によって、センサーノードの普及が進んでいる。AT&TやVerizonなどの通信事業者は、ソフトウェアをアップグレードしてLTE Cat-Mに対応することで、20dBmの低伝送レベルで800kビット/秒のデータ伝送を実現した。

 T-Mobileは、NB(Narrow Band)-IoTをサポートすることを発表した。ただし、DSPコアIP(Intellectual Property)ベンダーのCEVAによると、ほとんどの通信事業者は、3GPPのリリース13のNB-IoTを試用するが、リリース14の展開を待つと予想されるという。リリース14は、伝送電力レベルを14dBmに下げ、低電力とレイテンシの短縮、より優れた位置特定、マルチキャスティングを実現する。

主なセルラーIoT規格の比較
LTE UE
カテゴリ
リリース 下り速度
FD/HD
帯域幅 伝送パワー
(dBm)
モジュール価格
(米ドル)
標準化 実用化
(予定含む)
Cat-1 8 10Mbps 20MHz 23 30 完了 商用化済み
Cat-M1
(eMTC)
13 800kbps/
300kbps
1.4MHz 20/23 10 2016年Q1 2017年Q2
FeMTC 14 4Mbps 5MHz 20/23 15 2018年2Q 2019年Q1
NB-IoT 13 40kbps 180kHz 20/23 5 完了 2017年Q1
eNB-IoT 14 80kbps 180kHz 14/20/23 4 2017年Q3 2018年Q1
EC-GSM 13 10kbps 200kHz 23/33 4以下 完了 2017年Q1
CEVAが提供した情報を基に、EE Times Japanが作成

 NB-IoTのモジュールの量産価格は、2019年には4米ドルを切るとみられている。これに加えて、RFやアナログ関連の部品や、センサーフュージョンを担うSoC(System on Chip)の価格が約2米ドルになると、CEVAは見積もっている。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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