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“黄金の組み合わせ”が生み出す中国チップセットの新たな芽生え製品分解で探るアジアの新トレンド(19)(2/3 ページ)

» 2017年08月09日 11時30分 公開

中国製、台湾製のチップを採用

 図2は基板の主要チップの様子である。表面、裏面にチップが実装されており、表面にはプロセッサと電源IC、インタフェースチップ、メモリが搭載されている。裏面には(掲載していないが)台湾Realtek製のWi-Fiチップ、SDカードスロット、台湾製のシリアル・フラッシュメモリが搭載されている。

図2:全天球カメラの内部のチップは中国製または台湾製だ(クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 プロセッサは中国Allwinner製の「V3」、電源ICは中国X-POWER製、HDMIインタフェースは台湾EXPLORE MICROELECTRONICS製である。

 AllwinnerのV3は、本製品以外にも数多くのアクションカメラ、ドライブレコーダーに活用されるビデオ・プロセッサである。CPUコアにはARMの「Cortex-A7」を採用し、機能IP(Intellectual Property)としてビデオエンジン、カメラ用ISP(Image Signal Processor)、オーディオコーデック、ディスプレイ出力、カメラ用CMOSイメージセンサーと接続するためのMIPIインタフェースなどを1チップ化したSoC(System on Chip)だ。中国のSMIC(Semiconductor Manufacturing International Corporation)の工場で製造される“ALL CHINA”チップ、つまり設計から開発、製造、最終製品までを全て中国メーカーが行っているチップの1つである。

 図3は、任天堂が2016年11月に発売したゲーム機「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ(以下、クラシックミニ)」の内部主要チップと、今回のXDV360の主要チップの比較である。実際に使われているチップは内部が若干異なっている。なお、クラシックミニのチップ解剖については、EE Times Japanで弊社が執筆している別の連載「この10年で起こったこと、次の10年で起こること」の第11回「初代ファミコンとクラシックミニのチップ解剖で見えた“半導体の1/3世紀”」で報告しているので、そちらをぜひ参照してほしい。

図3:主要チップは、中国製チップの組み合わせになっている(クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 クラシックミニで採用されている「R16」はARMのCortex-A7が4コア、GPU、ビデオエンジンが備わっている。一方のV3は、CPUコアはCortex-A7のシングルコア、ビデオエンジンを搭載し、V3固有の機能としてカメラ用ISPが備わったものになっている。つまり、R16からCortex-A7コアを3個抜き、GPUを抜き、カメラ用ISPを加えた仕様がV3というわけだ(R16−Cortex-A7x3−GPU+Camera ISP=V3)。電源ICはレギュレーターの数が若干異なっているが、プロセッサの動作や処理内容に応じて電圧を変動させたり、機能を止めたりするという点でほぼ同じ仕様になっている。

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