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» 2017年09月20日 10時30分 公開

村田製作所がデモ:金属に同化するUHF帯RFIDでコンビニを変える (2/2)

[竹本達哉,EE Times Japan]
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全ての商品に取り付けられるを実現するために

 “全ての商品に電子タグを貼り付けられさえすれば、この条件はクリアできる”と思われるかもしれないが、そうではない。金属を使用した商品にRFIDを取り付けた場合、その金属面でRFIDの電波が反射、干渉したり、電波エネルギーが金属に吸収されたりして通信が遮断されるため、“商品をRFIDで管理できない”という状況に陥ってしまう。しかも、金属を使用したコンビニ取扱商品は、缶詰や缶ジュースなどの一部に限られるわけではない。スナック菓子など商品パッケージの多くにアルミニウムが使用されており、RFIDに影響を及ぼしてしまうのだ。

金属製の脚立に取り付けられた防水型の金属対応UHF帯RFIDタグ(写真中、赤い矢印で示した部分)。金属をアンテナとして利用するため、この場合は、脚立全体がアンテナとして機能する (クリックで拡大)

 そうした中で村田製作所は、RFIDの大敵である金属を味方に付けるRFID技術を開発した。金属をRFIDタグのアンテナとして利用するUHF帯RFIDタグだ。金属を使用しない商品に取り付けた場合よりも、金属を使用した商品に取り付けた方が20〜30%感度が良くなるという技術だ。

 いわば“金属と同化するRFID技術”を用いて村田製作所は2017年9月11日、工事現場の資材や工具、IT機器、物流カートやコンテナなどの金属物を管理するための防水型RFIDタグを商品化している。コンビニでの活用を目指した試作RFIDタグにも、この金属と同化するRFID技術を応用し、缶詰やスナック菓子、さらには水分を多く含む商品にタグを貼り付けても安定した通信を行える様子をデモとして披露した。

コンビニを模したデモ。UHF帯RFIDタグを取り付けた商品を金属製の商品展示器具に並べられている。商品展示器具の棚裏などに複数のRFIDリーダーが取り付けられており、在庫状況などをリアルタイムで把握。「商品がお客の手に取られ、棚から離れたものの、再び棚に戻された」といったことも認識でき「こうしたデータは、メーカーなどに有益な情報になるだろう」とする。なお、写真左はRFIDを活用した無人レジスターシステムで、RFIDタグを取り付けた商品を入れたカゴを置くだけで、買い物合計金額が表示され精算できる。

独自実装技術と連携でコスト低減へ

 あらゆる商品へのRFIDタグの取り付けについては、技術的メドがついた。残るは、コストの問題になる。デモで披露したRFIDの単価は、「おおよそ10円台半ば」(山田氏)。目標の1円以下には10倍以上の開きがあるが「1円以下を目指す」とコスト低減についても前向きな姿勢を示す。

 RFIDタグのコスト低減に向けては、RFIDチップの低価格化などさまざまなアプローチがある中で、山田氏は「村田製作所独自の“IC内蔵ストラップ技術”を生かし、包装資材(パッケージ)メーカーと連携することでコスト低減できる可能性がある」という。

 電子タグの主な構成要素は、RFIDチップとその周辺回路(=マッチング回路)、そしてアンテナの3つになる。山田氏の言う“IC内蔵ストラップ技術”とは、村田製作所がモジュール製造などで培った高密度実装技術を生かし、ストラップ状の樹脂系基板にRFIDチップとマッチング回路を実装する技術を指す。このRFIDチップ、周辺回路が実装されたIC内蔵ストラップをアンテナに貼り付けさえすれば、RFIDタグとして動作する。デモに用いた10円台半ばというコストの試作タグは、IC内蔵ストラップにアンテナを取り付けたスタンドアローン型タグだったが、「アンテナをパッケージ側に印刷し、IC内蔵ストラップを貼り付けるだけであれば、さらなるコストダウンにつながるだろう」としている。

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