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» 2017年09月21日 11時30分 公開

Over the AI ―― AIの向こう側に(15):心を組み込まれた人工知能 〜人間の心理を数式化したマッチング技術 (2/13)

[江端智一,EE Times Japan]

意外と幅広い「マッチング」

 こんにちは、江端智一です。今回は、「マッチング」についてお話させて頂きたいと思います。

 経済学の範疇(はんちゅう)に「マッチング理論」というものがありますが、私たちのイメージする「マッチング」というと、どうしても冒頭で話題に出てきたような合コンや、お見合い、結婚相談所などが思い浮びますが、これ以外にも、ヤフオク!(以下、ヤフオク)、メルカリ、タクシーのUber、民泊のAirbnb、さらにはFacebookの友達申請から、道路料金、私たちの税金の配分に至るまで、全てマッチングと言えます。

 そこで、今回私は、このマッチングといわれているもの、以下のようにざっくりと整理してみました(江端オリジナルです)。

 #1の「分配」は、要するに最適配分問題です。例えば、国家でも会社でも家庭で、予算をどこにどれだけ突っ込めば、多くの人を満足させるかということであり ―― 逆に言えば、どこを「ないがしろ」にするかを決定することでもある ―― 要するに「政治」です*)

*)「政治」という言葉は『人々が生きていくために、ルールを作り、保存し、改定する活動』ですので、家庭内、学校内、友人間でも使えます(私だけかもしれませんが)。

 #2の「換金」は、自分にとって不要となったモノを、交換可能な価値、つまり「お金」に換えることですし、#3の「活用」は、使われていない時間のモノや人を、使い倒すということです(江端の「週末エンジニア兼ライター」も、この中に入るかもしれません)。

 #4の「創生」は、ぶっちゃけて言えば、2つ以上の財産をマッチングして、新しい財産を作り出すことです。例えば、「出会い」をマッチングすれば、「愛」という無体財産が創生されることがあります(「憎悪」が創生されることもありますが)。「結婚」をマッチングして、運が良ければ、「子ども」という将来の納税者……ではなく、「子宝」というプライスレスな有体物財産が「創生」されるというケースもあります(まあ、「子宝」については、「結婚」がマストではないですが)。

 その一方、「食材」のマッチングが「料理」で、「原材料」「部品」「燃料」マッチングが「製品」と言えますし、また、顔認識、文字認識、指紋認識、音声認識などの各種のパターンマッチングも、マッチングです。

 しかし、今回は、マッチングを、「人間の存在と意思を含むマッチング技術」と把握して考えてみたいと思います(以下、"マッチング技術"(かっこ付き)と記載します)。

 つまるところ、"マッチング技術"とは「人が人の財産を○○する」ということなのです。特に、上記の表の赤字で記載されているところの多くは、ネットビジネスの稼ぎ頭といっても過言ではないでしょう。

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