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» 2017年10月05日 11時30分 公開

福田昭のストレージ通信(80) 反強誘電体が起爆するDRAM革命(1):反強誘電体とは何か (1/2)

強誘電体の新材料である二酸化ハフニウムは、実は条件次第では「反強誘電体(Antiferroelectrics)」になる。今回から、この反強誘電体を不揮発性メモリに応用する研究について解説していこう。

[福田昭,EE Times Japan]

二酸化ハフニウム「強誘電体」に伴う2つの発見

 前回までは23回にわたって「強誘電体メモリの再発見」と題するシリーズ連載において、二酸化ハフニウム系強誘電体材料を使った不揮発性メモリ技術をご紹介してきた。1つは、メモリセルを1個のMOSトランジスタと1個の強誘電体キャパシターで構成する不揮発性メモリ技術である。DRAMのメモリセルと類似の構成であり、既に製品化されている従来材料(ペロブスカイト系強誘電体材料)の強誘電体不揮発性メモリも、この技術を採用している。

 もう1つは、メモリセルを1個の強誘電体トランジスタで構成する不揮発性メモリ技術である。MOSトランジスタのゲート絶縁膜が、強誘電体膜とシリコン系絶縁膜の2層構造になったトランジスタ(MFIS(Metal Ferroelectric Insulator Semiconductor)構造のトランジスタ)を使う。原理的にはメモリセルを最も小さくできる技術である。

 厚みを10nm前後にまで薄くしても強誘電性を維持するという二酸化ハフニウムの素晴らしい特性のおかげで、これらの不揮発性メモリセルは30nm前後と微細なCMOS製造技術を使って研究が進められている。

 二酸化ハフニウムが条件次第で強誘電体になることが発見されたことは、既に述べたように、非常に重要である。そして強誘電性とともに発見されたのが、二酸化ハフニウム系材料が条件次第では「反強誘電体(Antiferroelectrics)」になるという事実だ。

 反強誘電体では、分極の源泉である電気双極子がきちんと整列しているものの、整列の仕方が特殊で、お互いの電荷を打ち消すように並んでいる。「反平行」と呼ばれる。このため、全体としては分極がほとんど見えない。ごくわずかな分極は見られるものの、強誘電体とは違い、大きな残留分極を生じることはない。

 二酸化ハフニウム系材料が強誘電体となることが発見された過程で、同材料を「反強誘電体」とする条件も見つけられた。1つは、シリコンやガドリニウムなどの原子を添加する(ドーピング)する濃度を高めることである。もう1つの手法は、二酸化ハフニウムと類似の化合物である、二酸化ジルコニウム(ZrO2)に熱処理を加えることである。

二酸化ハフニウム系材料が高誘電体から、強誘電体(FE)、反強誘電体(AFE)へと変化する条件。左のグラフは特定の原子をドーピングする場合。右のグラフは二酸化ハフニウム(HfO2)と二酸化ジルコニウム(ZrO2)の混晶比を変える場合。出典:NaMLabおよびドレスデン工科大学(クリックで拡大)
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