連載
» 2017年10月13日 12時00分 公開

製品分解で探るアジアの新トレンド(21):Intelを取り囲む中国チップ群、半導体“地産地消”の新たな形 (2/3)

[清水洋治(テカナリエ),EE Times Japan]

「インテルファミリー中国」の台頭

 図2は、GOLE1を分解し、内部の主要チップを並べた図である。これ以外にもLANインタフェース、Wi-Fiチップやメモリが搭載されているが、この図に掲載した以外のほとんどのチップは台湾製である。GOLE1は、「Intel+台湾チップ群+中国チップ群」という構成なわけだ。残念ながら日本チップはゼロであった。

図2:Intelのプロセッサを取り囲む中国チップ群 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 内部は、さながらPCそのものである。Intelのプロセッサを中心に各種インタフェースチップ群が放射状に並んでいる。これを“インテルファミリー”と呼ぶ。

 PCのエコシステムではIntel(もしくはAMDまたはVIA)のx86プロセッサが中心にあり、データ処理のためのメモリであるRAMと記憶保持のためのROMがプロセッサに接続される。プロセッサはIn/Outのそれぞれのインタフェースチップを介してUSBや通信、SDカードなどに接続されている。

 この構造はGOLE1も、一般PCと全く同じである。インテルファミリーは1990年代に形成され、USBが得意なメーカー、S-ATAが得意なメーカー、HDMIが得意なメーカーなどがそれぞれ、PC市場の発展とともに成長していった。

 インテルファミリーのチップメーカーは、1990年代は日本にも多く存在したが、2000年以降になるとマザーボードなどを手掛けるメーカーが支配的になり、ASUS、ASRockなどの発展とともに、台湾勢の台頭が目立つようになっていく。

 シリコンバレーが、PCの中心であるプロセッサ開発、インタフェース規格の策定を行えば、それに呼応するかのように台湾メーカーが外堀チップを作り上げ、最終的なマザーボード、PCの組み立てまでを行う、いわゆる“モジュール化”と呼ばれるエコシステムを構築していった。

 しかし今、台湾エコシステムを超え、GOLE1では中国チップ群がインテルチップを取り囲んでいる。GOLE1の正確な国籍別チップ点数は、中国10個、台湾2個、米国3個、韓国1個である(詳細はテカナリエレポート159号に掲載)。

 中国にはGOLE1ばかりでなく、Windows 10対応、もしくはWindows/Android Dual OS対応のタブレットやガジェットは数多く存在する。その多くは中国製半導体を使い、問題なく新たなコンセプトの製品を生み出している。

 半導体は一見すると、世界産業と受け取られる。IntelやQualcommなどが世界中で採用されているからだ。しかし、地産地消の側面がより強い。一部のグローバル企業を除くと多くの製品は、その地域での半導体で満ちている。

 弊社レポートは製品に採用される半導体のBOM表も作成しているが、その項目には国籍欄もあって、製品がどこの国のチップでできているかがひと目で分かるようになっている。中国製品は中国チップ(以前は日米欧が多かった)、韓国製品は韓国チップが常に半数以上を占めている。台湾、日本も同様である。しかし日本では、最近はより汎用性の高いチップの採用が増え、地産地消が減っている。

 GOLE1や類似製品を見る限り、地産地消は一層進んでおり、“インテルファミリー台湾”は依然として健在だが(最新のマザーボートを見る限り)、新インテルファミリーとも呼べる、“インテルファミリー中国”が台頭しているという状況だ。

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

All material on this site Copyright © 2005 - 2017 ITmedia Inc. All rights reserved.
This site contains articles under license from UBM Electronics, a division of United Business Media LLC.