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» 2017年12月15日 10時00分 公開

ルネサスイベントレポート SCF2017:スマートファクトリ化を前進させるe-AIソリューション

ルネサスエレクトロニクスは「システムコントロールフェア(SCF)2017」(2017年11月29日〜12月1日)において、スマートファクトリ化に向けた課題を解決し、容易に機械学習を活用した予知保全などのインテリジェント機能を装置に付加できる「AIユニットソリューション」などのデモを行った。

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ルネサス「AIユニットソリューション」をデモ

 スマートファクトリ化やインダストリ4.0などの、センサを利用して生産設備や機械を自律的に稼働させることで生産性を向上させる取り組みや、機械の状態を監視して故障や不具合の兆候をつかんでメンテナンスを行う予知保全への取り組みが活発になってきた。しかし現実には、センサデータをどのように活用すれば生産性向上につなげられるのか。悩むだけで一向に前へと進めない企業が多いという話も聞こえてくる。

 こういった悩みへの解決策となりうる最新ソリューションを、ルネサスエレクトロニクス(以下、ルネサス)が「システムコントロールフェア(SCF)2017」(会期:2017年11月29日〜12月1日)において展示した。SCF 2017の来場者数は5万3006人と、前回(2015年)より7.2%増え、昨今のスマートファクトリへの関心の高まりもあり大きな注目を集めた。

 ルネサスがSCF 2017で新たに提案したのは、スマートファクトリ化を容易にするためのソリューション「AIユニットソリューション」だ。

 スマートファクトリでは、機械や設備からセンサでデータを収集、そのデータから状況を分析し制御することが基本。人工知能(AI)を活用した分析、制御を行うには、AIで「学習」できるような形でセンサデータを収集する必要がある。

 しかし「データ収集→蓄積→分析→制御」という一連の流れ、それぞれで実現を阻む壁が存在し、この壁がスマートファクトリ化を難しいものにしている(図1)。昨今でこそ「蓄積〜分析」については、CAFFEやTensorFlowといったオープンソースのAIフレームワークの登場により、そこに存在した導入障壁は随分と低くなったものの、依然として「データ収集〜蓄積」「分析〜制御」部分の高い壁は残る――。

図1:スマートファクトリ化、機器のスマート化を阻む壁

 ルネサスのAIユニットソリューションは、この残る2つの壁をなくし、一連の処理すべてを1台で行えることを目的に開発された。同ソリューションは、マイコンなどを搭載し各種センサやネットワークとつながるハードウェア「AIユニット」(ルネサスはリファレンスデザインを提供)とソフトウェアで構成される。ソフトウェアは、AIユニットに搭載されたルネサス製デバイスにインストールするものと、AIユニットとネットワークで接続されたサーバやPCにインストールするものが提供される。前者は、センサデータを加工するための前処理、学習済みAIモデルによる分析、結果に応じたアラーム出力などの後処理を行う。後者は、AIユニットで行う処理を選択、及び各種パラメータ設定を行うものと、AIフレームワークによる学習結果を、AIユニットに実装できる形に変換する「AIユニット用e-AI*)トランスレータ」からなる。

*)e-AI(イーエーアイ):embedded-Artificial Intelligenceの略。IoT(Internet of Things)の末端となるエンドポイントに人工知能技術を実装する技術。

 この「AIユニット」とセンサを生産設備や機械に取り付ければ、「データ収集〜蓄積」「分析〜制御」を容易に実現できる。オープンソースのAIフレームワークを活用すれば、AI活用型の機器の自律制御を実現できるのだ。

図2:AIユニットソリューションの使用イメージ

 SCFでは、AIユニットソリューションで簡単に、工場でよく見かけるモータによる駆動ギアボックスの異常を検出、判断して制御するシステムを構築できる様子をデモとして披露した。

 デモでは、回転するギアボックス部に振動センサを取り付け、AIユニットでその信号波形を収集し、AIフレームワークで学習できる形にデータを加工。加工データをAIフレームワークにより学習、その結果(推論モデル)をe-AIトランスレータでマイコンに実装できるように変換し、AIユニット内のマイコンへ実装した。

 そしてAIユニットで推論モデルを走らせ、もしギアボックスに回転異常(=異常振動/会場では、あらかじめ歯が欠けたギアを用意し、正常なギアと切り替えることでわざと振動波形を乱れさせていた)があると、AIユニットがそれを異常と判断。NGランプが点灯させ、周囲に異常があったことを知らせるというデモだった。

 ルネサスがAIに自信を持つのは、2015年から2年間、自社のウエハプロセスの那珂工場で実証実験を行ってきたからだ。実証実験ではAIユニット試作機を用いて異常検知率を6倍に高めることができたという。なお、産業システムや産業機器の提供を行う明電舎と産業用PCの世界シェアトップクラスのアドバンテックがAIユニットソリューションをベースに製造機械の異常検知、予知保全を行うAIユニットを発売する予定である。

図3:AIユニットソリューションベースに開発されたアドバンテック製AIユニット(左)と明電舎製データ収集コントローラ(右)

主要な産業ネットワーク規格をカバー

 ルネサスがもう1つ、SCFで力を入れて提案した製品が、産業ネットワーク向けのマイコン「RZ/N1」だ。工場のネットワークは、EtherCATやCC-Link IE、POWERLINKなどFA機器メーカーの使用プロトコルに合わせて構築されてきた。工場では、オフィスのイーサネットとは違い、リアルタイムでモータなどを制御、駆動する必要があり、通信の遅れやデータ欠落が許されない。このため産業イーサネットでは信頼性の向上と時間管理が明確に規定されている。

 今回ルネサスが展示した産業ネットワーク向けマイコンは、EtherCATやEtherNet/IPやPROFINET、CC-Link IE Field Basicなど主要な産業イーサネットプロトコルをカバーしている。加えて、冗長構成を実現可能な機能も複数搭載している。産業ネットワーク向けコントローラの決定版ともいえる製品となっている。

図4:産業ネットワーク向けマイコン「RZ/N1」は主要な産業イーサネットプロトコルに対応する
図5:実際のデモの様子

 展示では、EtherCAT、EtherNet/IP、PROFINET、CC-Link IE Field Basicのプロトコルを使用した各産業ネットワーク群の制御を、リング状ネットワークで接続されたRZ/N1Dを搭載したボードで行い、例えばEtherCATネットワークではRZ/T1を使用して、モータを動かすデモを見せた。またリング状ネットワークのリダンダンシー機能を示すために、ケーブルを抜いて疑似的に断線状態を作り出し、この断線状態の検出を、リング状ネットワークで接続されているEtherCATネットワークへ通知し、安全にモータを停止するというデモも見せた。ケーブルを再び接続することで通信状態が復帰する。設定によっては通信し続けさせることも可能である。

規格サポートまでワンストップショッピング

 産業用IoTでは、多数のIoTセンサからの信号を完全同期で受け取らなければならないような応用もある。そのような応用に向いた次世代ネットワークTSN(Time Sensitive Networking)機能もRZ/N1に搭載可能だとしている。

 さらにルネサスは、RXやR-INシリーズなどを利用して、産業オートメーション分野のデータ交換標準であるOPC UA(IEC62541)を実装。センサデータが直接上位層に伝えられるようになることで、スマートファクトリ化に欠かせない垂直統合の加速を提案している。

 また、工業用の機能安全規格IEC61508の認証取得もサポートする。これは、マイコンなどで構成される工業機器が、故障や誤動作を起こしても人などに危険が及ばないようにすることを目的とした国際規格で、認証取得が難しいといわれている。これを“機能安全サポートプログラム”により、開発リファレンスから認証サポート・ツール類までを提供する。つまり、工業用マイコンに必要な機能やサービスに関しても対応していくことで、工業用コントローラをワンストップショッピングで提供可能にする作戦だ。

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提供:ルネサス エレクトロニクス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2018年1月14日

掲載動画数200本超「バーチャル展示会」

ファクトリー向けAIユニットソリューション

産業ネットワーク機器向けソリューション

TSN技術による次世代ネットワークソリューション

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ルネサス エレクトロニクスは2017年10月27日、子会社であるIntersil(インターシル)の社名を2018年1月1日付で「Renesas Electronics America」に変更すると発表した。

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