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» 2017年12月19日 11時30分 公開

IHSアナリスト「未来展望」(7):変わる自動車業界、電子化の加速で競争は新たなステージへ (1/3)

ADAS(先進運転支援システム)や自動運転といったトレンドにより、自動車に搭載される半導体は増加の一途をたどるばかりだ。これは同時に、新規プレイヤーの参入や、自動車産業の構造の変化などをもたらしている。自動車業界での競争は今、どう変わりつつあるのか。

[杉山和弘(IHS Markit Technology),EE Times Japan]

電子化が進む自動車

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 自動車の生産台数は、新興国、先進国市場でゆっくりと成長を続け、2020年には1億台を超えるといわれている。地域的特性としては、今後、日本、韓国は鈍化し、成長は望めないが、中国、南米、アジアでの成長が見込まれていて、その結果、全体としての市場成長率は、2.4%になるとみている(図1)。

 自動車1台当たりの電子システムの平均売上高は、2022年までに1500米ドルを超えると予測されている。車載半導体の売上高は、2016〜2022年にかけ、年率7.1%で成長するとみている。自動車1台当たりに使用される半導体の平均金額は、2022年には470米ドルとなる見込みだ。分野別にみると、自動運転対応の促進からADAS(先進運転支援システム)市場が、年率20%と二桁成長を記録すると予想され、自動車における電子化をけん引する役割を果たすだろう(図2)。

図1:自動車の生産台数(単位:百万台) 出典:IHS Markit
図2:自動車に搭載される半導体の平均金額(単位:十億米ドル) 出典:IHS Markit(クリックで拡大)

新たなプレイヤーの参入

 自動車用半導体業界は、今までのプレイヤーとは異なる、新たなプレイヤーが参入してきており、それによって市場を取巻く状況が急速に変化してきている。

 その背景には、自動車の電子システム化が大きく影響している。エンジン、アクセル、ブレーキなどの制御システムをはじめ、現在の自動車の大部分は電子制御されている。電子化を促進している要因は、ADASと自動車の電動化、つまり電気自動車(EV)であり、そこに近年は、IoT(モノのインターネット)の台頭によるネットワーク接続が加わった。

 その結果、自動車市場は、「走る・止まる・曲がる」という従来の制御の領域から、新たな領域である、情報&通信の対応が必要となってきている(図3)。現在、まさにこの新領域を狙って、新たなプレイヤーである、IntelやQualcomm、NVIDIA、Googleなどが参入してきている。

図3:自動車のIoT化 出典:IHS Markit(クリックで拡大)

 こうした傾向は、かつての携帯電話機市場をほうふつとさせる。携帯電話機からスマートフォン(スマホ)への移行により、Nokia、Motorola、RIM(Research in Motion)が独占していた市場に、AppleやGoogle、そして中国メーカーが参入し、市場の勢力図を一気に書き換えたのだ。

 IntelやQualcommなどの新たなプレイヤーが参入している現状からも、自動車業界のIoT化が進み、情報&通信の対応が必要になってきたことが伺える。今、車載用半導体業界は、安全・安心を実現する機能の普及や自動運転の実現に向けて、NXP Semiconductors(以下、NXP)、Infineon Technologies(以下、Infineon)、ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)といった既存の半導体メーカーと新たなプレイヤーとの間で、勢力争いが始まったところだといえるだろう。

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