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» 2017年12月22日 11時30分 公開

Over the AI ―― AIの向こう側に(18):儲からない人工知能 〜AIの費用対効果の“落とし穴” (2/9)

[江端智一,EE Times Japan]

AIブームは、バブルに似ている!?

 こんにちは、江端智一です。今回は、AIブームとお金の関係について、お話をしたいと思います(AI技術のお話は、お休みします)。

 これまでの17回の連載で、私なりに、この第3次AIブームについて、いろいろな検討や評価をしてきました。

 そして、私、もう1つの連載「世界を「数字」で回してみよう 「働き方改革」編)の執筆のために、一から経済学の勉強を始めているのですが、この「AIブーム」というものが、経済の景気パターン ―― 特に、バブルの発生から崩壊までのパターン ――に

よく似ていることに気が付きました。

 また、私は前々から、AI技術への国家や企業の投資が、見合っているのかどうか ―― ぶっちゃけていえば、AIは、投資をちゃんと回収できるものなのかどうか ―― が、非常に気になっていました。

 そこで今回は、この2つのテーマ「AIブームと経済トレンドの関連」と「AIへの投資に関する費用対効果」について、考えてみたいと思います。


 まず1つ目のテーマ「AIブームと経済トレンドの関連」について考えてみましょう。

 事の発端は、「誰も知らない「生産性向上」の正体 〜“人間抜き”でも経済は成長?」の執筆で、わが国の経済成長について検討していた時に遡(さかのぼ)ります。詳細は、そちらのコラムをご覧頂くとして、私は、そのコラムの中で以下のような定式化を行いました。

 この式は、成長率(GDPの成長率)をプラスにするには、毎年、新しい工夫を続けて、毎年、新しい人口を増やし続け、毎年、新しい生産性を上げ続なければならないということ ―― つまり、休んだら負け、ということを示しています。

 上記の3つの中の「新しい人口」については、(これまで何度も申し上げてきた通り)絶望のひと言に尽きます。

 そして、たちの悪いことに、私たち日本人は、ここ2000年ほどの間、マイナス成長を経験していません。1年単位ではともかく、10〜100年単位で見た場合、人口は常に上昇を続け、その人口の上昇変化率が経済の成長をけん引してきたのです。

 加えて、戦後の日本は大量消費社会に突入し、その後のオイルショックによって、徹底的な合理化によって労働生産性の向上を果し、さらに各種の技術革新も積極的に取り入れてきました。このような成果として、日本の経済成長率は、10年単位では必ず成長してきたのです

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