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» 2017年12月26日 11時30分 公開

この10年で起こったこと、次の10年で起こること(21):半導体プロセスの先導役はPCからモバイルに、2017年は“真の転換点”だった (1/3)

2017年は、プロセッサに適用する最先端製造プロセスの導入において、モバイルがPCを先行した。その意味で、2017年は半導体業界にとって“真の転換点”ともいえる年となりそうだ。今、PC向けとモバイル向けのプロセッサは、製造プロセスについて2つの異なる方向性が見えている。

[清水洋治(テカナリエ),EE Times Japan]

10nmプロセスチップの採用が相次いだ2017年

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 2017年はAI(人工知能)ブームに沸き、AIを実現するための半導体チップ(以下、AIチップ)も、NVIDIAのチップを筆頭に、各種アクセラレータチップ群が数多くリリースされた。これらについては、2018年も引き続き本コラムでいろいろ取り上げていく予定だ。

 一方、2017年は半導体業界にとって忘れえぬ、大きな転換点が起こった年でもあった。上記AIチップ群の登場も重要だが、表1にまとめたように、10nmプロセスを適用したモバイルプロセッサが続々と世に出てきたことにある。いずれもハイエンドのフラグシップスマートフォンに採用されている。

表1:上位モバイルプロセッサは10nmプロセスが主流になっている(クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 表の左から、発売順に並べた。左端の2つはほぼ同時期、2017年第2四半期に発売された製品に採用された、Samsung Electronicsの「Exynos 8895」プロセッサ、Qualcommの「Snapdragon 835」プロセッサである。ともにスマートフォンに採用されている。製造はいずれもSamsungの10nmプロセスだ。

 図では、ほぼ同じサイズにしてあるが、面積は3割ほど異なっている。一般に同じプロセステクノロジーならば、チップ面積が大きければ大きいほど、多くの機能・回路を搭載することができるので、ハイエンドチップということになりやすい。Exynos 8895の面積の方がSnapdragon 835よりも大きいので、Exynos 8895の方がより多くの機能・回路を搭載したハイエンドなものになっている(可能性が高い)。

 2017年6月に発売されたAppleの「10.5インチiPad Pro」には、10nmプロセスの「A10X」プロセッサが、同年9月に発売された「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」には、同じく10nmプロセスの「A11 BIONIC」が搭載されている。これらのプロセッサは、同時期に発売された「Apple TV 4K」や、2017年11月に発売された「iPhone X」にも採用されている。

 さらに、2017年11月には中国Huawei傘下の半導体メーカーHiSiliconの10nmプロセッサ、「Kirin 970」が、Huaweiのスマートフォン「Mate 10」に採用され、発売されている。

 2017年の上位機種スマートフォンやタブレットは、10nmプロセスを採用したプロセッサのオンパレードになっているわけだ。表1の右側3製品は、台湾TSMCのプロセスで製造されている。10nmプロセスは、微細化によって前世代の14nm/16nmプロセスよりも低い電源電圧で使うことができる。加えて、微細化により、実際のトランジスタ間の距離が近くなることで動作速度が向上する。つまり、電力を下げた上で速度を上げるという、微細化に伴う本来の利点を生み出している。

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