三菱電機は、高精度のビーム走査が行えるアレーアンテナ「REESA(リーサ)」を開発した。従来アンテナに比べて小型化と低コスト化も可能である。
三菱電機は2018年2月、高い精度でビーム走査が可能なアレーアンテナ「REESA(リーサ)」を開発したと発表した。小型・低コスト化も可能とした。
空港レーダーや移動体衛星通信に用いられるアンテナはこれまで、機械駆動式のパラボラアンテナや高周波モジュールを用いたアレーアンテナが一般的であった。これらのアンテナは形状や重さ、価格や精度などの点で課題もあった。
今回開発したREESAは、168個の円偏波アンテナ素子で構成している。この素子を個別にモーターで回転させると、各アンテナ素子の位相を約2度ステップで制御することができる。この結果、高周波モジュールによるアレーアンテナに比べて、約5〜10分の1の位相設定精度でビーム走査を行うことができるという。
試作したREESAを用いて衛星放送の受信実験を行った。その結果、BS衛星方向にビームを走査し、放送映像を映し出せることを確認した。
アンテナ素子の給電には、ラジアルライン導波路を用いた。このラジアルライン導波路は、所定の間隔を空けて配置した2枚の金属板により構成される中空型分配回路となっている。構造がシンプルで低損失、という特長がある。試作品で特性を評価したところ、12GHz帯で効率85%を達成していることが分かった。一般的なパラボラアンテナの効率は70%程度だという。
同社は2020年ごろの製品化を目指している。用途は従来の空港のレーダーや移動体衛星通信に加え、撮影した映像を長距離伝送するドローン装置や工業用マイクロ波加熱装置などへの応用も視野に入れている。
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