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» 2018年02月19日 11時30分 公開

世界を「数字」で回してみよう(47) 働き方改革(6):政府vs企業で揺れる「副業」、労働者にメリットはあるのか (6/11)

[江端智一,EE Times Japan]

司法の本音

(3)司法の本音

 わが国は法治国家ですから、司法は法律+α(当時の社会常識や慣習など)に従って、判断します。そして、わが国は自由主義国でもありますから、「兼業・副業」を、社会悪として認定することは、絶対にありません(この辺、企業のマインドとは真逆です)。

 実際に、裁判所が、会社の解雇を正当であると認めた案件は、数えるほどしかなく、しかも、「解雇の無効の裁判の申し立てした奴、アホなのか?」というような案件ばかりです。

 「副業のために本業を(数カ月単位で)サボる」(NHK事件:東京地裁 昭和56.12.24)とか、「本業と同じ業務をする会社の社長を副業でやる」(東京メデカルサービス事件:東京地裁 平成3.4.8)とか、普通に考えれば当然にダメだろう、というようなものばかりです。

 裁判官も「こんなアホな事件を法廷に持ち込むな!」と叫びかったのではないかと、私は気の毒に思っております。

 逆に言えば、「ここまで徹底的にアホなことをしない限り、解雇は認められない」ということです。要するに、「本業の業務パフォーマンスに影響を与えることが、客観的に認められる態様で行われている副業」でなければ、解雇は無効にされる、ということです。

 私、今回も判例データベースで"副業"をキーワードとしてヒットした、60以上の判決文の全部に目を通しました(本当に、大変だったんです。誰か私を褒めてください)。

 そこで気になったのは、判決文の中でよく登場してきた「月4〜5万円程度の副業にすぎず……」というフレーズです(多分、この数字、(後述のシミュレーションを除き)今回のコラムの中で使われる、唯一の数字になります)。

 これは、「月4〜5万円程度」とは、1日当たり1200〜1500円程度、という意味になります(一日の食事代の合計とトントンくらいでしょうか)。裁判官(の一部)が、この程度の副業は、本業に影響を与えるものではない、と判示していたことは、留意しておくと良いかもしれません*)

*)ただし、判決文内の用語の意義は、全文を読んで勘案しなければなりません。

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