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» 2018年02月20日 11時30分 公開

大山聡の業界スコープ(2):車載半導体市場の現状と今後のゆくえ (1/2)

車載半導体市場の現状を踏まえながら、今後、車載半導体市場がどのように変わろうとしているのかについて展望していく。

[大山聡(グロスバーグ),EE Times Japan]
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 昨今の自動車業界は、自動運転への取り組みやEV(電気自動車)化など、話題が豊富で注目度も高まっている。車載半導体に求められる機能や役割も大きく変わりつつあり、この分野に注力する半導体メーカーも増える傾向にある。ここでは車載半導体市場の現状を踏まえながら、今後車載半導体市場がどのように変わろうとしているのかについての展望を述べてみたい。

車載半導体は全体の10%以内

 WSTS(世界半導体出荷統計)によれば、2017年の世界半導体市場は4122億米ドル。一般に車載機器向けには10%弱が出荷されており、本稿では370億米ドル(全体の約9%)と仮定して話を進めよう。

 今後、自動車のハイブリッド化、インテリジェント化が進むことによって、クルマ1台当たりの半導体搭載金額は徐々に増加するため、半導体市場における車載向け比率はまもなく10%を超えるだろうと期待する見方がある。ただしこれが15%、20%を占めるようになる、という見方はあまり現実的ではなく、筆者としては「今後も全体の10%以内にとどまる」とみている。

 車載半導体市場は話題が豊富だ、注目度が高まっている、などと書き始めておいて、いきなり水を差すようなコメントに聞こえるかもしれないが、以下の点については注意が必要と言わざるを得ない。

  1. ハイブリッド、プラグインハイブリッドについては、エンジンに加えてモーターが搭載されるため、半導体などの部品点数も増えるが、EVになるとエンジンが搭載されず、部品点数は大きく減少することが予想される。
  2. カーシェアリングが進むと、1人当たりの自動車保有台数が減少して、自動車の生産台数も減少する可能性が高い。

 つまり過度な期待は禁物で、バラ色の未来が開けているわけではないのだ。注目すべきは、車載半導体に必要とされる機能や役割が変わろうとしていることで、車載半導体メーカーの顔ぶれも今後10年、20年で大きく変わる可能性がある、という点である。

現在の主役はルネサス、Infineon、NXP

 車載半導体市場における主な企業と言えば、ルネサス エレクトロニクス、Infineon Technologies、NXP Semiconductorsなどが代表的である。

 まずルネサスだが、同社の2017年度売上高は7815億円。うち、車載向け半導体売上高は4081億円(いずれも同社決算資料より)であり、米ドルに換算すると約36億米ドルということになる。

 Infineonの2017年度売上高は70.63億ユーロ、このうち車載向けは29.89億ユーロ(約34億米ドル、同社決算資料より)、金額ではルネサスを若干下回る計算になる。

 NXPの2017年度売上は92.56億ドル、このうち車載向けは37.62億米ドル(同社決算資料より)、ルネサスを若干上回る計算になる。

 世界の車載半導体市場規模が370億米ドルなので、この3社はいずれも9〜10%のシェアを持っていることになる。

 3社に共通している点としては、「走る」「曲がる」「止まる」というクルマの基本動作を制御する技術にたけていることで、特にエンジン制御用マイコンに関しては、この3社が市場を寡占しているのが現状である。基本動作以外にも、メーター制御、パワーウィンドウ、ドアロックなど、クルマにはさまざまな制御機能が搭載されているが、この3社はおよそ全ての制御機能に対応できる製品や実績を持っている。

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