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土に還る電池、競技空間を“丸ごと伝送” NTTが技術展示NTT R&Dフォーラム 2018(1/3 ページ)

NTTは、最新の研究開発成果を公開する「NTT R&Dフォーラム 2018」の一般公開(2018年2月22〜23日、NTT武蔵野研究開発センター)に先駆け、プレス向け公開を行った。本稿では、興味深かったデモを幾つか取り上げる。

» 2018年02月22日 09時45分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

競技空間が目の前に……!

 NTTが現在、最も注力している技術開発の1つが、イマーシブテレプレゼンス技術「Kirari!」だ。離れた場所で行われている競技や演劇などを、中継技術や映像処理技術などによって、目の前の空間にプロジェクションのように映し出す技術である。具体的には、実際の競技などを複数のカメラで撮影して映像を伝送し、中継先で再構成する。これによって、競技や演劇が、あたかも自分の目の前で行われているかのような臨場感を得られるとする。Kirari!のコンセプトは2015年2月に発表されたが、それ以来、NTT R&Dフォーラムでは目玉の展示の1つになっている。

 今回のR&Dフォーラムでは、Kirari!の技術の1つとして、「Kirari! for Arena」を提案した。実際の競技場などの中継元で選手の映像に加え、位置情報も取得することで、従来は主に左右方向の動きを再現していたものが、前後左右の動きを再現できるようになるという。これにより、多方向から視聴することができるようになる。

R&Dフォーラムでの「Kirari! for Arena」のデモ。このように、4方向から視聴することができる

 Kirari! for Arenaには、多数の開発成果が投入されている。例えば、選手の位置情報を取得するために、選手を認識して追跡する技術がある。深層学習による物体認識や、レーザー光を用いた奥行きセンサーなどを組み合わせることで、選手が見え隠れしてしまうようなケースでも、位置情報の追跡、取得ができるという。競技場や舞台で、被写体だけを4Kでリアルタイムに抽出する技術や、裸眼3D技術、音の強弱や聞こえる方向をよりリアルに再現する技術「波面合成音響技術」など、さまざまな技術が開発あるいは強化され、Kirari! for Arenaに使われている。NTTの説明員は、「Kirari! for Arenaによって、2020年の五輪はもちろん、さまざまな機会で新しい視聴体験を提供できるようになると期待している」と述べている。

ちなみにこちらは、2015年のNTT R&Dフォーラムで初めて「Kirari!」が披露された時の映像。Kirari!を使って、卓球の試合を伝送している。目の前で本当に試合をしているかのような、高い臨場感を実現している。卓球台だけは本物(=デモ会場に設置されている)である
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