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» 2018年02月23日 10時30分 公開

明暗差の大きい屋外でも8K撮影:有機CMOSセンサー、高解像度で動体ひずみなし

パナソニックは、有機薄膜を用いたCMOSイメージセンサーを開発した。3600万画素の解像度でグローバルシャッター撮影を可能にする技術である。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

8K解像度、60fps、45万電子飽和、グローバルシャッターを同時実現

 パナソニックは2018年2月、3600万画素の解像度でグローバルシャッター撮影を可能にする、有機薄膜を用いたCMOSイメージセンサー技術を開発した。明暗差の大きい環境でも、8K解像度で動体ひずみのない撮影を可能にする。

 今回開発した技術は大きく、「CMOSイメージセンサー設計技術」と「画素内−容量結合型ノイズキャンセル技術」「画素内−ゲイン切り替え技術」そして「電圧制御感度変調技術」の4つである。

 CMOSイメージセンサー設計技術により、光電変換機能を持つ「有機薄膜」と電荷蓄積および、光電変換信号を読み出す「回路部」を完全に独立させる積層構造とした。この構造を生かし、高速なノイズキャンセルや高飽和化を実現するための技術を新たに開発し、下層の回路部に搭載した。これにより、8K解像度で毎秒60フレームの読み出し、広ダイナミックレンジ、そしてグローバルシャッター機能を同時に実現することができる。

従来型と新開発のCMOSイメージセンサー構造 出典:パナソニック
開発した8K CMOSイメージセンサーによる街遠景の撮影例 出典:パナソニック
開発した8K CMOSイメージセンサーによるスタジオでの撮影例 出典:パナソニック

 また、独自の半導体デバイス技術と、新たに開発した画素内−容量結合型ノイズキャンセル回路技術により、発生したリセットノイズを高速にキャンセルすることが可能となった。これまで8Kなどの多画素センサーでは、ノイズ抑制に多くの時間を費やしていたという。

従来型と新開発のノイズキャンセル技術の比較 出典:パナソニック

 回路部には大容量の容量素子を搭載した。これによってカメラスステムからのスイッチ切り替えのみで、高感度モードと高飽和モードの両モードを実現することが可能となった。高感度モードは4.5万電子の光量まで、高飽和モードは高感度モードの10倍となる45万電子の光量まで撮影することができる。この特性によって、薄暗い室内から日の当たる屋外まで明暗差の大きい場所でも、黒つぶれや白とびのない映像を撮影することができる。

開発した8K CMOSイメージセンサーの広ダイナミックレンジを示す屋外撮影例 出典:パナソニック
開発した8K CMOSイメージセンサーの広ダイナミックレンジを示す室内撮影例 出典:パナソニック

 電圧制御感度変調技術は、有機薄膜に印加する電圧を制御するだけで、有機薄膜の感度を変更することができる。例えば8K解像度で全画素同時撮影可能なグローバルシャッター機能や、無段階の電子NDフィルター機能などを実現することができる。

ローリングシャッターモードとグローバルシャッターモードで高速走行時に撮影した画像の比較 出典:パナソニック
ローリングシャッターモードとグローバルシャッターモードで高速パンニングをして撮影した画像の比較 出典:パナソニック
電子NDフィルター機能の効果と有機薄膜の感度を示した図 出典:パナソニック
電子NDフィルター機能を用いた撮影例 出典:パナソニック

 パナソニックは、今回開発した有機CMOSイメージセンサー技術を、業務放送用カメラや監視用カメラ、産業検査用カメラ、車載用カメラなどの用途に提案する。

 なお、今回の研究成果は、米国サンフランシスコで開催された半導体集積回路技術の国際会議「ISSCC 2018」(2018年2月11〜15日)で発表した。

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