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太陽誘電、債務超過のエルナーを子会社化へコンデンサー事業を強化

太陽誘電は2018年2月26日、エルナーが2018年4月に実施する第三者割当増資を引き受け、エルナーを子会社化すると発表した。

» 2018年02月26日 18時15分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

議決権所有割合63.75%に

 太陽誘電は2018年2月26日、エルナーが2018年4月に実施する第三者割当増資を引き受け、議決権所有割合を従来の22.3%から63.75%に引き上げ、エルナーを子会社化すると発表した。

 太陽誘電とエルナーは2014年に、太陽誘電がエルナーの発行済み株式22.3%分を取得する形で資本業務提携を結び、コンデンサー事業領域で連携してきた。

 ただ、エルナーは、車載向けを主力にしたコンデンサー事業で安定した収益を上げつつも、プリント配線板事業での営業赤字状態が継続。2018年2月22日付でプリント配線板事業を子会社のエルナープリンテッドサーキット(EPC)に承継させた上で、第三者割当増資によりEPCの議決権の70%に相当する株式を台湾のプリント配線板メーカーであるGLOBAL BRANDS MANUFACTURE(精成科技)に割り当てるなどの事業再編策を発表。それに伴いプリント配線板事業再編損失(約12億円)を2017年度(2017年12月期)に計上し、2017年度末時点で約9億円の債務超過に陥っていた。

 そうした中で、車載市場を中心に需要拡大が続くコンデンサー事業での成長を図るため、早期の債務超過の解消を目指し、これまでも資本業務提携を結んできた太陽誘電を割当先として第三者割当増資を実施することを決定。太陽誘電は約50億円で、今回の第三者割当増資で発行される新株(普通株式7692万4000株)の全てを引き受ける。第三者割当増資後の太陽誘電の出資比率は63.78%に達し、エルナーは太陽誘電の子会社になる。第三者割当増資払込期間は2018年4月3〜9日。また、太陽誘電とエルナーは、エルナーの取締役会の構成員を5人とし、太陽誘電がそのうち2人の指名権を有し、残る3人についても、2人は社外取締役とすることで合意しているという。

 エルナーは第三者割当増資で調達する資金約50億円の使途について、エルナー東北における導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサーの増産や、タイ生産拠点における車載向けアルミ電解コンデンサーの増産などを目的にした設備投資に約33億円を充て、残りは運転資金に充当する方針。

 太陽誘電は、エルナーを子会社化する狙いについて「両社の間で中長期的かつ、全社的な共通戦略をベースに業務推進を行うことにより、今後の両社の連携をより強固なものとし、一層の収益力の拡大とそれに伴う企業価値のさらなる向上を図るため。お互いの有する経営資源を有効活用し補完していくことにより、グローバルに事業を拡大し、それぞれの企業価値の最大化を図る」としている。

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