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大電流で高耐圧、高速動作のGaNパワーデバイス高効率動作と小型化が可能に

パナソニックは、大電流、高電圧での高速スイッチング動作を実現した絶縁ゲート(MIS:Metal Insulator Semiconductor)型GaNパワートランジスターを開発した。

» 2018年02月27日 09時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

ゲート絶縁膜にアルミニウム酸窒化物を採用

 パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は2018年2月、大電流、高電圧での高速スイッチング動作を実現した絶縁ゲート(MIS:Metal Insulator Semiconductor)型GaNパワートランジスターを開発したと発表した。

 開発したMIS型GaNパワートランジスターは、ゲート絶縁膜にAlON(アルミニウム酸窒化物)を採用しつつ、成膜プロセスを改善することで、膜中の電子トラップを大幅に低減した。この結果、MIS型ゲートで課題となっていたヒステリシスの発生を抑えることができ、ゲート電圧として最大10Vまで印加しても、安定した連続駆動が可能になった。

GaNパワートランジスターの構造比較。左が従来の技術、右が開発した技術 出典:パナソニック

 高いゲート電圧を印加できるため、スイッチング時間はオフ動作で1.9ナノ秒、オン動作で4.1ナノ秒という高速スイッチングを実現した。

 また、ゲート電極の下部に凹部を形成するゲートリセス構造を採用した。この構造はゲート下の半導体とゲート脇の厚みをそれぞれ変えることで、正のしきい値電圧と大電流を両立させることができるという。

 ただ、この構造は掘り込み形成時のプロセスダメージがこれまで課題となっていた。今回は掘り込み形成後の最表層を高温で結晶成長させる技術を用いることで、その課題を解決したという。これらの工夫により、ノーマリオフで最大20Aの電流動作を実現した。耐圧は730Vを達成している。

 同社は、GaNパワートランジスターのスイッチング周波数を高めたことで、周辺の受動部品を小型化することができ、サーバや基地局装置などに用いる電源回路の効率改善や省スペース化を実現できるとみている。

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