メディア
ニュース
» 2018年02月28日 13時30分 公開

耳穴の形状を音響特性で測定:非可聴音で個人を識別、NECの耳音響認証技術

NECは長岡工業高等専門学校の協力を得て、人間の耳には聞こえない非可聴音で個人を識別する耳音響認証技術を開発した。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

利用者の行動や作業を妨げずにセキュリティを向上

 NECは2018年2月、長岡工業高等専門学校の協力を得て、人間の耳には聞こえない非可聴音で個人を識別する耳音響認証技術を開発したと発表した。高い認証精度と、より快適な使用感を兼ね備えた耳音響認証が可能となる。

 NECと長岡工業高等専門学校は、個人差がある耳穴の形状を音で測定する独自のバイオメトリクス認証「耳音響認証」技術を2016年に発表した。今回はそれを強化した技術となる。従来は測定に可聴音を用いていたが、今回は高周波の非可聴音にすることで、利用者の作業や思考を妨げずに、個人認証を継続的に行うことができるという。

 新たに開発した認証技術は、周波数が18k〜48kHzの人間の耳では聞こえない音を耳穴(外耳道)に送出し、その反射音を分析して耳穴の特徴を抽出する仕組みである。反射音としてとらえた30k〜40kHzの周波数帯にはその個人差が現れやすいという。ただし、反射音を正確に測定するには、高周波ノイズや壁面に音が吸収される影響などについて考慮する必要がある。

主な動物の可聴域 出典:NEC
従来は可聴音を、今回は非可聴音を送出しその反射音から個人を認証するイメージ 出典:NEC
個人差のある耳穴の形状を可聴音と非可聴音で測定した例 出典:NEC

 そこでNECは、「短時間同期加算法」と「対数フィルターバンク法」という2つの技術を新たに開発した。短時間同期加算法はまず、非可聴音を反復的に送出して複数回の特徴抽出を行う。次にこれらを平均することでノイズを低減させ、本質的な外耳道の音響特性を強調する手法である。対数フィルターバンク法は、隣接する周波数をまとめた上で音響特性を平滑化し、ノイズの影響をさらに低減する手法である。

 今回は、イヤフォンの設計にも工夫した。高周波の反射音を効率よく取得するため、マイクやスピーカーの形状、配置、構造などについて最適化した。

 NECによれば、まずイヤフォン装着時に可聴音を用いて認証を行うことで、装着したユーザーは認証作業を確認することができる。それ以降はユーザーの集中を妨げないよう、非可聴音で常時認証を行うことが可能である。これにより、イヤフォンを着脱しても99%以上の高い精度で個人を認証することができるという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from UBM Electronics, a division of United Business Media LLC.