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» 2018年03月06日 11時30分 公開

MWC 2018:TDK+Chirp、VR/AR分野で相乗効果の発揮を狙う (1/2)

TDKが買収を発表したChirp Microsystemsは、スペイン・バルセロナで開催した「MWC(Mobile World Congress) 2018」に出展し、超音波センサーを展示した。両社にはどんな相乗効果があるのか。CEO(最高経営責任者)に聞いた。【訂正】

[Junko Yoshida,EE Times]

TDKが買収した超音波センサーメーカー

 米国カリフォルニア州バークレーに拠点を置く超音波センサーメーカーChirp Microsystems(以下、Chirp)は、1年前の「Mobile World Congress(MWC) 2017」で、同社初となる高精度、超低消費電力超音波センサーの開発プラットフォームを発表したばかりだ。同社は2018年2月26日〜3月1日にスペイン・バルセロナで開催した「MWC 2018」にも出展したが、現在、TDKによる買収の手続きが進んでいるという。

 TDKの取締役会は2018年2月28日にこの取引を承認したが、今後数日間で手続きを完了させる予定だ(関連記事:TDK、米超音波センサーメーカーChirpを買収)。

 Chirpは、「TDKとの契約によって、自動車やIoT(モノのインターネット)、家電製品、モバイル機器など複数の市場で当社の超音波技術の成長を加速できる機会が創出されると期待している」と述べている。

 TDKは、Chirpの買収価格を明らかにしていない。その主な理由は、2017年の売上高が100億米ドルを超える同社にとって、Chirpの買収額は取るに足らないほどの金額だからだ。

 ChirpのCEO(最高経営責任者)を務めるMichelle Kiang氏は、EE Timesによる独占インタビューで、「われわれはもちろん、売却するためではなく、独自の事業を成長させるためにChirpを設立した。当社は2017年秋に、シリーズAでの資金調達を目指していたが、同投資ラウンドには定員を超える申し込みがあった。こうしたタイミングで、TDKが当社に関心を持っていることを耳にした」と語った。同氏は、「大きな組織の一員になれば、既に確立しているエコシステムに加わるチャンスを得て、当社の事業拡大をより迅速に進めることができるため、TDKの買収案に乗ることもやぶさかではなかった」と語った。

ChirpのCEOであるMichelle Kiang氏

センサー事業の強化に積極的なTDK

 TDKは近年、センサー分野を中心に着実に事業を拡大してきた。最も注目を集めたのは、買収額13億米ドル(約1572億円)のInvenSenseの買収で、2017年5月に手続きが完了している。現在TDKグループの一員となった、Behrooz Abdi氏率いるInvenSenseは、モーションテクノロジーや音声技術、指紋認証などの技術ポートフォリオを持っている。

 Chirpは、TDKのMEMSセンサー事業グループの4つ目の事業部門として、主に超音波トラッキングと距離測定技術の開発に取り組むことになる。今回の合意に基づき、Chirpの技術だけでなく、15人の従業員全員がTDKに移籍する。移籍した社員は、少なくとも数年間はTDKに在籍することが義務付けられる。

 MEMS超音波トランスデューサーと低消費電力のミックスドシグナルSoC(System on Chip)を組み合わせたChirpの超音波センサーは、従来の超音波センサーと比べてサイズ面での優位性が高い。

 Kiang氏はChirpの技術について、「サイズ、コスト、極めて低い消費電力に加え、直射日光を含めたあらゆる光条件の下で動作するという特長は、モバイル製品に用いる上で大きな強みとなるだろう」と説明した。

写真右端は、従来の超音波センサー。少し見えにくいが、写真真ん中に、MEMS超音波トランスデューサーとミックスドシグナルCMOS SoC(System on Chip)を組み合わせたChirpのセンサーがある
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