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» 2018年03月07日 09時30分 公開

福田昭のストレージ通信(90) STが語る車載用埋め込み不揮発性メモリ(3):車載用マイコンへの要求仕様 (1/2)

車載用マイコンに対する要求仕様は、かなり厳しい。車載用マイコンが内蔵する不揮発性メモリについても同様だ。今回は、これらの要求仕様について説明する。

[福田昭,EE Times Japan]

高速の動作、高い信頼性、広い温度範囲、極めて低い不良率を要求

 国際会議「IEDM」の「ショートコース(Short Course)」から、車載用の埋め込み不揮発性メモリに関する講座「Embedded Non Volatile Memories for Automotive Applications」の概要をご紹介している。講演者は半導体ベンダーSTMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)のAlfonso Maurelli氏である。

 なお講演の内容だけでは説明が不十分なところがあるので、本シリーズでは読者の理解を助けるために、講演の内容を適宜、補足している。あらかじめご了承されたい。

 前回は、スタンドアロン(単体)の不揮発性メモリの歴史を振り返るとともに、埋め込み用途への展開を解説した。今回は、マイコン(マイクロコントローラーあるいはマイクロコンピュータ)を自動車用に開発するときの要求仕様、すなわち車載用マイコン製品への要求仕様をご説明する。

 車載用マイコン製品への要求仕様は、一言でまとめると「厳しい」。マイコンを動かすプログラムコードへの直接かつ高速なアクセス、更新データへの高い書き換え回数と長期の保存期間、広い動作温度範囲、極めて低い不良率、などである。

車載用マイコン製品に対する要求仕様と実現技術の概要。出典:STMicroelectronics(クリックで拡大)

プログラムコード用メモリと更新データ用メモリで要求仕様が異なる

 車載用マイコンが内蔵する不揮発性メモリに対する要求も、かなり厳しい。まず、プログラムコードと、更新データの両方を格納する必要がある。そしてプログラムコード用メモリと更新データ用メモリに対する要求仕様が異なる。つまり、仕様の異なる2種類の埋め込み不揮発性メモリを、マクロセルとして用意しなければならない。

 プログラムコード用メモリには、20ナノ秒と高速なアクセス、250KB/sの書き込みスループット(工場出荷時)、1000回の書き換えサイクルと20年のデータ保持期間、256Kバイト単位の記憶ブロックが要求される。そして更新データ用メモリには、100ナノ秒のアクセス時間、サイクル当たり4秒の書き込みスループット(製品寿命が尽きるまでの非常に長い期間)、50万回と多い書き換えサイクルと10年のデータ保存期間、4Kバイト単位あるいは8Kバイト単位の記憶ブロックがリクエストされる。

 さらに、メモリへの書き込み動作中にメモリへの読み出しを許可すること、言い換えるとコード用メモリへのアクセスと更新データ用メモリへのアクセスを同時並行に実行可能なことが要件とされる。

車載用マイコンが内蔵する不揮発性メモリに対する要求仕様。左がプログラムコード用メモリ、右が更新データ用メモリ。出典:STMicroelectronics(クリックで拡大)
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