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イメージング、パワー…… これから注目の技術/座談会編3IHSアナリスト「未来展望」(10)(1/4 ページ)

IHS Markit Technologyのアナリスト5人がエレクトロニクス業界の未来を語り合う座談会編。第3回は、今、注目の技術について語ってもらう。

» 2018年04月19日 15時30分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

 IHS Markit Technologyのアナリスト5人がエレクトロニクス業界の未来を語り合う座談会編。第3回は、今、注目の技術について語ってもらう。


【座談会 参加アナリスト】

  • 南川明氏(日本調査部ディレクター):半導体業界を中心にエレクトロニクス産業全般を担当。
  • 棚町悟郎氏(アソシエイト・ディレクター):主に自動車分野の市場分析/ビジネス分析を担当。
  • 李根秀氏(主席アナリスト):機器分解によるデバイスのコスト調査などを担当。
  • 大庭光恵氏(シニアアナリスト):主に情報通信分野の市場分析/ビジネス分析を担当。
  • 杉山和弘氏(シニアアナリスト):半導体/エレクトロニクス産業全般の市場分析/ビジネス分析を担当。

5G、AI、センサー

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EE Times Japan編集部(以下、EETJ) 皆さんが、今、注目していることや技術について教えてもらえますか。

李氏 産業機械、工場がこれから大きな変化を遂げようとしていることに注目している。

 理由の1つが、第5世代移動通信(5G)の登場がある。これまでの4G以前の通信は、あくまで電話のためのネットワークだった。しかし、5Gはそうではなく、電話以外の機器やモノのためのネットワークで、自動運転や産業機械のスマート化といったことができる通信になる。5Gは、例えるなら体中に張り巡らせた神経の役割を果たすだろう。神経のような細かなネットワークが張り巡らされるからこそ、人工知能(AI)も機能する。

棚町氏 神経の末端に位置するセンサーも重要になる。

李氏 その通りで、5GとAI、それにセンサーによって、産業機械、工場は大きく変わっていくと思っている。

棚町氏 自動運転も同じことが言える。リアルタイムの車車間通信などがなければ成り立たない。スマート工場や自動運転など、今、進められているイノベーションのほとんどは、5Gを前提にして考えられていると思う。

EETJ どのようなセンサーが重要になると思われますか。

李氏 さまざまな産業を変えていくのは、イメージングソリューションだろう。工場であれば、マシンビジョン。人の目でできない精巧な仕事ができるようになり、現状、確実な対策がない、食品工場の異物混入問題も、マシンビジョンで解決できるようになるだろう。

 農業分野でも、カメラを搭載したプロフェッショナルドローンの活用が当たり前になると見ている。

棚町悟郎氏

棚町氏 これまでは、農薬散布等の農業用途やパイプライン等のインフラ監視セスナなどの軽飛行機が退役軍人等によって利用されてきた。その軽飛行機が、これまで国防用途に利用されてきた大型無人機やドローンに置き換わり利用がさらに増えつつある。米国では、その点に着目し、ドローンを使ったサービスを手掛けるベンチャー企業が数多く登場している。そこでもやはりソフトウェア、サービス面の充実がより重要になってきており、無人機やドローンの製造業界ではソフトウェアやサービスベンダーとの戦略的提携によりいち早く市場を占有していく動きが活発化している。

李氏 一時期、工場で農作物を生産するという動きが活発になったが、人口増大による食料危機が叫ばれる中では、現実的な解決策にはならない。やはり、大規模農場での単位面積当たりの収穫量を増やすことが大切。規模やコストを考慮すると、ドローンで農場の情報を収集し、AIで処理、管理するということが現実解になるだろう。

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