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実運用を想定した産業用ドローンの無線通信 〜 無線通信と組込みソフトの業界団体が連携したアプローチJASA発IoT通信(8)(2/4 ページ)

» 2018年04月26日 18時00分 公開

業界団体間の連携による検討

 MCPCとJASAでは連携して、ドローンの通信について検討を行っている。両団体が連携して検討を行っている理由は、ドローンでは、センターまたは基地局からの指示(通信)による動作と、通信接続が途切れた場合の自律的な動作、これら2つの組み合わせが必要不可欠と考えるからだ。前者の動作は無線通信が重要で欠かせず、後者の動作には組込みソフトが欠かせない。MCPCは無線通信、JASAは組込みシステム、というそれぞれの強みを生かし、これからの通信システムをより総合的に整理した(図3参照)

図3 図3:MCPCとJASAが行ったドローンの通信検討

 ドローンは、近年まで軍事利用が先行してきた。第一次世界大戦の時代からドローンは存在し、空を飛ぶものから、船、地上探査車(ローバー)など、軍事利用されてきたとされる。

 空飛ぶ無人機には、ヘリコプタータイプから、単翼機、マルチコプター(3個以上のローター搭載した機体)など、たくさんの種類がある。これら空飛ぶ無人機の総称として「Unmanned Aerial Vehicle:UAV/無人航空機」という言葉が存在している。

 このUAV/無人航空機に関しては日本の場合、航空法で定義されている。ドローンと聞くと、UAVの一種であるマルチコプターに限定して想像する人もいるが、MCPCとJASAでのドローンとは広義の無人機を示し、それら無人機の連携で社会貢献を目指す。また、MCPCとJASAでは、ドローンを「移動するIoT」という用語で、イメージしやすくしている。

 この「移動するIoT」、つまり“空、水域、地上、屋内などの機器”を結んでのデータ活用サービス実現のための「通信を起点としたサービスシステムの検討」がMCPCとJASAとの連携理由である。

 図3にあるように、複数の方式の機器や通信バンドや複数の速度の混在での、サービス実現が重要な検討点である。

 これだけパラメーターが出てくると、検討が発散するリスクがある。そこで、図2に示した各省庁の期待から、2つの主な利用シーンを最初の半年間の検討で抽出した。

 映像活用系とI/O活用系の利用が、各政策に横断して登場した利用シーンと考える。

 映像活用系とは、点検、防災、誘導、生育等の現状確認を想定している。FPV(First Person View:一人称視点)も含め映像を転送することを主と考える。I/O活用系とは、管理センターからの制御、機体のテレメトリー、各地点の計測結果等の通信を想定している。実際の「移動するIoT」の利用シーンを物流サービスに置き換えたイメージが、図4になる。

図4-1 図4-1:各政策に横断して登場した利用シーン
図4-2 図4-2:実際の「移動するIoT」の利用シーンを物流サービスに置き換えたイメージ

 図4のように、発注されたものが、倉庫から集荷センターに集まり、そこから個別配送される。その荷物を、例えば動く宅配受領ボックスで受け取り、宅内の人に届けるというイメージだ。配達物や、運搬路、運搬車両や飛行体、倉庫や宅配ボックスなどは、IoTでセンシングと制御をされ、動くIoTとして全体での効率的運用がなされる。

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