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» 2018年04月26日 11時30分 公開

イノベーションは日本を救うのか(24):新規事業開拓のヒント? ベンチャーキャピタルが握る“水面下の情報”を活用するには (2/4)

[石井正純(AZCA),EE Times Japan]

大手企業が米国を活用して新規事業を開拓するための、2つの方法論

 では、ここでいったんベンチャーキャピタルの話を離れ、一般的に日本企業が米国という地の利を活用して新規事業を開拓する際の方法論を考えてみよう。これには大きく2つある。

新規事業開拓とその方法論(クリックで拡大)

【1】戦略構築プロジェクト

 1つ目の方法論は、新規事業開拓のための戦略構築プロジェクトを行う方法だ。新規事業開拓といった場合、大きく分けて「既存事業を米国市場で展開する場合」と「米国の先端技術を取り込んで、新規事業につなげていく場合」と2つの場合があるが、戦略構築プロジェクトの方法論は、両方の場合に活用できる。

 この場合の典型的なアプローチは、以下のようになる。

  • トップダウンの手法で、最上位の戦略課題を漏れなく重複なく下位の課題に分解する
  • それらの課題に対して仮説を立て、仮説を証明すべく調査や分析を行う
  • その結果、仮説が証明されれば、それが「結論」となるので、それらの結論を合成して上位の課題に対する最終的な結論とする

 つまり、非常にシステマチックな方法論となる。

戦略立案プロジェクトの概要(クリックで拡大)

 この手法のよい点は、「一定期間の間に必ず何らかの答えが出てくる」ということだ。一定期間の間に、無駄が少ない方法で「瞬間風速の正解」にたどり着くことができる。また、企業が既に参入している分野で「次の一手」を考える場合、緩やかに変化している業界においては有効な方法だといえる。

 一方で難点は、世の中は常に変化しているので、とりわけ近年のように変化が激しい場合、その「答え」が陳腐化し、6カ月もたつと正解でなくなってしまう場合もあり得る。また、経験のない分野に新規参入するケースでは、業界に人脈ができていないので、決してすぐには“業界通”には、なれない。なので、上で言った「米国の先端技術を取り込んで、新規事業につなげていく場合」には、この方法のみではなかなか難しいところがあると言わざるを得ない。

【2】コーポレートベンチャリング

 上記の難点を克服する2つ目の方法論が、コーポレートベンチャリングである。この方法論は「既存事業を米国市場で展開する場合」には当てはまらないが、「米国の先端技術を取り込んで、新規事業につなげていく場合」に大いに力を発揮できる方法論だ。

 この方法論は、新規事業のタネが入ってくる仕組み(フレームワーク)を活用することで、新規事業開拓を行う。具体的には後述するが、既存のベンチャーキャピタルへの投資やコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ということになる。こちらはどちらかというと、ボトムアップのアプローチで、とにかく集まってくるベンチャー企業の情報から有望案件を取り出し、これだと思うベンチャー企業と技術ライセンス、直接投資、さらには買収などによって新規事業につなげていくという考え方だ。

日本企業が、米国(特にシリコンバレー)を活用して、新規事業のタネを探す方法(クリックで拡大)

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