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小さな国の賢い戦略、台湾の成功を行政トップに聞く半導体業界をいかに生き抜いたか(3/3 ページ)

» 2018年05月24日 11時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]
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小さな国の、賢い戦略

EE Times:業界に携わる者として、TSMCは、エレクトロニクス業界のチャンピオンだと感じています。台湾は、PCメーカーについて確固たる基盤があり、さらにMediaTekやFoxconnといった企業もあります。部品やサブシステムを作るこれらのメーカー以外に、台湾ではどのようなエコシステムが成長していくのでしょうか。

Chen氏:台湾は、ハイテク産業においてバリューチェーンを見つけだしたり、事業を拡大あるいは移行して価値を創出したりすることに長けている。

 その一例がUMCだろう。同社は統合デバイスメーカーとしてスタートしたが、ビジネスモデルをファウンドリーに移行することで、IC設計チームがスピンオフしてMediaTekが誕生した。これによって、UMCは、事業をさらに拡大する手法を考え出したのだ。

 また別の例としてはFoxconnが挙げられる。同社は、当初はコネクター事業を手掛けていた。しかし、Foxconnはエレクトロニクス市場のエコシステムが成長するのを見て、EMS(電子機器受託製造サービス)事業に移行したのだ。シャープを傘下に収めたことからも分かるように、Foxconnは、事業のさらなる拡大へと突き進んでいるのだろう。

 台湾企業は、サプライチェーンを理解し、エコシステムの変化を観察することで、ビジネスを進化させ、価値を創出してきた。新しい領域に移行する柔軟性も持ち合わせている。

 台湾では、「Small Country, Smart Strategy(小さな国の、賢い戦略)」というスローガンを掲げている。われわれはリソースが限られているため、全てを行うことはできない。ある分野やテーマを選択し、それに集中することが求められる。企業、大学、そして非営利の政府機関が緊密に連携している。

 例えば、Foxconnの会長であるTerry Gou氏は、われわれの大学の研究室を頻繁に訪問している。同氏は学術研究を探索して新しいビジネスのアイデアを探し出し、Foxconnの利益向上につながるようなプロジェクトを教授陣に与えているのだ。

EE Times:つまり、Foxconnが、台湾の大学や研究機関を、Foxconnの研究開発ラボのように活用しているということですか?

Chen氏:ある意味では、そうだ。台湾は小さな国だが、それがわれわれの利点でもある。人々はお互いを知っている。もし、社会を変えたいという起業家がいるなら、台湾こそ、活動の場にふさわしい。台湾でなら、イノベーションのアイデアを、より速く、しかもよりよい形で実現することができるだろう。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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