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» 2018年06月22日 15時00分 公開

株主の期待に反しても:「IoT向けの長期戦略では利益の犠牲も必要」 Arm

ソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下、SVF)の担当CEOであり、ソフトバンクグループのディレクターを兼任するRajeev Misra氏は、英国で開催されたAI(人工知能)関連のカンファレンスにおいて、「IoTには、半導体チップだけでなく、ソフトウェアスタックなども必要だ。このための投資を行うには、今後3〜5年間は利益を犠牲にする必要がある」と述べた。

[Nitin Dahad,EE Times]
画像はイメージです 写真:アフロ

 ソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下、SVF)の担当CEOであり、ソフトバンクグループのディレクターを兼任するRajeev Misra氏は、「Armは、株式非公開企業として優れた地位を確立し、IoT(モノのインターネット)市場への対応を進めるに当たり、長期的な成長に向けた戦略的アプローチを採用する」と述べている。

 同氏は、英国で2018年6月11〜12日(現地時間)に開催された世界最大規模のAI関連のカンファレンス「CogX 2018」において、「IoTには、半導体チップだけでなく、ソフトウェアスタックなども必要だ。このための投資を行うには、今後3〜5年間は利益を犠牲にする必要がある。株主たちが、約10%の年間成長率の実現を期待する中で、長期的な視点から考えるのは勇気がいることだ」と語った。

注目は、デジタルセキュリティ分野

Rajeev Misra氏 出典:ソフトバンク

 Misra氏は、未来の技術について見解を問われると、「特に、今後誰もが経験することになるコネクティビティレベルや、プライバシーの課題などを考慮すると、今後3年の間に、デジタルセキュリティ分野が最大規模の業界となるだろう。また、今後数年間で、“人間の脳を超える”処理性能が実現される見込みだ。ただし、処理性能だけでは不十分であるため、取得したデータでの処理や分析など、何かを実行することが必要だ」と述べている。

 同氏は、「ソフトバンクは、SVFを発表した2016年に、36件の投資を行ったが、欧州ではわずか2件にとどまる。さらに、今後2〜3年の間に、80〜90社を傘下に置きたいと考えている」と述べる。

 さらに、「ソフトバンクの資金が、技術業界のバブルを刺激しているのではないか」とする指摘を否定し、「10年間という視野で見る場合、短期的な評価の変動は無関係だ。数千億米ドル規模の現金を保持する一部の技術メーカーが、それぞれ独自のファンドと競い合い、優れた投資家として始動している」と続けた。

中国がシリコンバレーを上回る?

 Misra氏は、「中国は現在、巨大な技術エコシステムを構築しており、影響力の面で、シリコンバレーを上回る可能性がある。重要なのは、資金ではなく、中国のような国々で成功している技術メーカーから提供される、良き指導者やロールモデルだ」と続けた。

 CogXカンファレンスは、2日間にわたって開催され、来場者は6000人を超えた。ゼネラリスト向けのAI(人工知能)カンファレンスとしては、ハードウェアメーカーにも発表の場が提供されていたという点で、異例だったといえる。

 現在、さまざまなAIカンファレンスが開催されており、今回のCogXでも、AIの影響や、AIによる仕事の引き継ぎ、AI倫理、AIと女性についてなど、ゼネラリスト向けの討論が数多く行われた。しかし今回は、こうした目標を実現していく上で、ゼネラリストに対して、半導体チップやハードウェアメーカーがどのようなことに取り組んでいるのかを認識してもらうという狙いがあった。

 IntelやGraphcore、Lightonなどのメーカー各社は、会場の聴衆に対し、AI用の基本的なハードウェアオプションについて、CPUやGPU、TPU、IPU(Intelligence Processing Unit)、OPU(Optical Processing Unit)など、シンプルな用語で説明している。FiveAIのCEOであるStan Boland氏も、完全な自動運転車に向けたハードウェア技術開発の基本的要素について、概要を説明している。

 特に、ハードウェアメーカーは、ディープラーニングの要件に対応していく上で、さまざまな手法が必要であることを強調した他、ハードウェアの最高性能を実現するためには、各アルゴリズムの演算および通信アーキテクチャのバランスを最適化しなければならない理由などを説明した。

 IntelのAIプロダクトグループに所属するCasimir Wierzynski氏は、ディープラーニング用アクセラレーターとシリコンフォトニクス回路の取り組みについて発表した。同氏は、「将来的には、ディープラーニングアクセラレーターに光技術を応用できると考えている」と述べている。

 英国のブリストル(Bristol)に拠点を置くGraphcoreの共同創設者であり、CTO(最高技術責任者)を務めるSimon Knowles氏は、「AI専用のプロセッサの開発をゼロから手掛ける、新たな価値観を持った半導体メーカーが登場している」と述べている。

 ニューヨークに拠点を置くArk InvestのアナリストであるJames Wang氏は、「AI向けハードウェアは既に大きな進展を遂げている。AIの性能をさらに10万倍向上する上で重要な鍵となるのは、光やアナログ、量子などの新しい技術や、高効率のアルゴリズムを開発することだ」と語った。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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