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“自動運転版Android”を作る、BaiduのApollo計画100社に上るパートナー(1/2 ページ)

2017年4月19日にApollo計画を正式に発表したBaidu。同社は、「Apolloは、完全にオープンな自動運転エコシステムである。自動車業界のパートナー企業や自動運転をサポートし、自動車向けソフトウェアおよびハードウェアシステムを組み合わせて、完全な自動運転車システムを迅速に構築することができる」と述べている。Apolloのパートナー数は既に100社に上っている。

» 2018年06月28日 15時20分 公開
[Yufy ZhangEE Times China]

 「自動運転車」というコンセプトは、決して新しいものではない。GM(General Motors)が、早くも1939年に、米国ニューヨークで開催された万国博覧会「Futurama」において、既に自動運転車に関するアイデアを提案していた。

 しかし、自動運転車がもっと現実的になってきたのは、コンピュータの処理能力やAI(人工知能)、センサー、ロボット制御などの分野が飛躍的に進歩した、1990年代に入ってからのことだ。GoogleやIntel、Uber、Tesla、Ford、GM、BMWなどのさまざまな企業が、自動運転車という新しい分野で他社をリードすべく、奮闘してきた。

 業界観測筋の多くはこれまで、自動運転車市場は、中国以外の企業が優勢を確保する分野だと考えていた。実際に、中国メーカーは数年前まで、同市場に参入すらしていなかった。しかし、中国の大手インターネットBaiduが2017年に発表した、自動運転車プラットフォーム「Apollo(アポロ)」は、瞬く間に認知度を上げ、自動車業界で重要な役割を担うまでに成長し、多くの海外メーカーを驚かせた。

“自動運転車向けAndroid”を作りたい

 Baiduは2017年4月19日にApollo計画を正式に発表した。同社は、「Apolloは、完全にオープンな自動運転エコシステムである。自動車業界のパートナー企業や自動運転をサポートし、自動車向けソフトウェアおよびハードウェアシステムを組み合わせて、完全な自動運転車システムを迅速に構築することができる」と述べている。

BaiduのIntelligent Driving Groupを率いるLu Qi氏

 Apolloプラットフォームは、ローカリゼーションと、オープンソフトウェアプラットフォーム、クラウドサービスプラットフォームの3つの要素から成る。Baiduは、ApolloのWebサイト上で、「Apolloプラットフォームは、パートナー企業に対し、最先端技術を用いた高精度のマップサービスを提供する他、広範囲をカバーし、高度な自動化を実現することが可能だ。また、世界で唯一、大量データを備えたオープンなシミュレーションエンジンを提供することもできる。さらに、Apolloのエンド・ツー・エンドの自動運転アルゴリズムは、世界最大規模のオープンなディープラーニングデータセットを誇る」と述べる。

 Apolloが、完全な自動運転プラットフォームベンダーとして機能するには、半導体チップやセンサー、自動車アーキテクチャなど、さまざまなハードウェアが、Apolloのソフトウェアアルゴリズムをサポートする必要がある。このためBaiduは、国内外の自動車メーカーと協業する道を選択した。Baiduがソフトウェアプラットフォームを提供し、自動車部品メーカーが、ハードウェアの統合や製品化を手掛け、最終製品を製造するための製造施設などを提供する。

 Baiduは、サプライヤーが製造するハードウェアモジュールを利用することにより、演算器を搭載する「Reference Vehicle Platform」と、GPSやカメラ、ライダーなどのセンサーと、H2M(Human to Machine)インタフェースデバイスによって構成される「Reference Hardware Platform」を提供する。同社は、ハードウェアの製造には直接関与しないが、Reference Hardware PlatformやReference Vehicle Platformを含む各種サービスを提供する。Apolloプラットフォームをベースとした自動運転車の量産については、自動車メーカーに委ねられる。

Apolloのフレームワーク 出典:Baidu(クリックで拡大)

 パートナー企業は、Apolloプラットフォームを活用することで、自動運転車の開発やテスト、実用化を迅速に進めることが可能だ。Apolloは、より多くのパートナー企業が関与することにより、さらに多くの運転データを蓄積できるようになる。Baiduは、「Apolloは、外資系メーカーが採用するクローズドシステムの手法と比べて、自動運転技術をより速く成熟させることが可能なため、参加メンバーたちに多くのメリットを提供できると確信している」と述べる。

 Baiduは、Apolloを“自動運転車版のAndroid”として確立したい考えだ。スマートフォン市場において、Androidはオープンソース戦略を用いることで最も優勢なOSプラットフォームとなった。それと同じ戦略によって、Apolloが世界の自動運転車業界に旋風を巻き起こすことができると期待している。欧米の技術コミュニティーは既に、自動運転車業界においてオープンソースプラクティスを推進していくというApolloの先駆的な取り組みに共感しているといわれている。

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