メディア
連載
» 2018年07月04日 11時30分 公開

Over the AI ―― AIの向こう側に(23) 最終回:中堅研究員はAIの向こう側に何を見つけたのか (6/10)

[江端智一,EE Times Japan]

私たち弱者が投資すべきものとは

 結論から言えば、「AI技術の研究開発への直接的な投資」と「AI技術の現場への直接的な導入」は、やめておきなさい、という提言になります。

 それでは、"AI"と名前が付けば、経営者の財布が緩む、この第3次AIブームで、Googleでもトヨタでもない、私たち弱者が投資対象とすべき対象は何なのでしょうか。

 答えは、仮想化です。

 何百回失敗を繰り返そうとも全く困らない世界を、パソコンの中に作ることに、全力投資をすべきなのです。

 実際のところ、AI技術の実装は、そんなに難しくありません(サンプルコードは、ネットにも転がっていますし、AI基盤をフリーで公開している会社もあります)。

 前述した通り、一番しんどいのは、現実世界と同じ振る舞いをする、仮想世界を作る方です。すなわち、「バーチャル缶詰工場」をパソコンの中に作ることが一番大切なことなのです。

 現実世界の「缶詰工場」をどの程度正確に「バーチャル缶詰工場」として反映させるによって、コーディングの量も質も変わってきます(下手すると物理方程式をオブジェクトに組み込む必要も出てくるかもしれません)が、まずは、この「バーチャル缶詰工場」を作らなければ、話が進みません

 そして、AI技術は、この「バーチャル缶詰工場」の中で試せばよいのです。この世界には、AI技術は、山のようにあります(少なくとも、この連載の数(23回分)よりは多くあるはずです)。

 どのAI技術が、「バーチャル缶詰工場」に最適であるか ―― そんなもん、やってみなければ、分かりません*)

*)机上検討(技術比較や、実績検証)もしないで、『この技術がベストです』断言するSE会社がいたら、その会社とは手を切った方がいいです。

 前述の通り、AI技術のサンプルプログラムなんぞは、ネットに転がっています。それらを、つまみ食いのように、取っ替え引っ替えして、「バーチャル缶詰工場」の中で試しまくればいいのです。

 「バーチャル缶詰工場」であれば、ラインが暴走しても、商品が不良品となったとしても、痛くはありません(技術部の上司に怒られるでしょうが、会社の経営を傾かせることにはなりません)。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from UBM Electronics, a division of United Business Media LLC.