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» 2018年07月26日 11時30分 公開

夏休み特別企画(1):盛夏到来――猛暑をしのぐ屋外冷房テクノロジーたち (1/2)

猛暑真っ盛りである街中で、もっと涼しく行動できれば良いのに――。と思いたち、屋外冷房に関するテクノロジーに心を引かれるがまま、街中を涼しくする最新の技術を取材した。

[松本貴志,EE Times Japan]

 夏は暑いものだが、2018年の夏は特にひどく暑い……。このように感じている人は少なくないだろう。連日のように酷暑の様子を伝える報道が続き、さんさんと陽射しが降り注ぐ屋外は出歩くことさえおっくうに思ってしまう。

 猛暑真っ盛りである街中で、もっと涼しく行動できれば良いのに――。と思いたち、屋外冷房に関するテクノロジーに心を引かれるがまま、街中を涼しくする最新の技術を取材した。

微細ミスト噴霧にトルネード送風でより涼しく、パナソニック

 公共施設の軒先など、ミスト噴霧を行っている光景をよく見る。ミスト噴霧による屋外冷房は、水を粒子状として空間中に散布し、散布された水粒子が蒸発する際に周囲の熱を奪う(気化熱)ことによって、人や空間を冷却する技術だ。しかし、従来のミスト噴霧では、大きな水粒子が人に付着することによる「ぬれ」の発生や、自然風にミストが流されてしまい涼しさを感じられない、といった課題があった。

 そこで、パナソニックはこの課題を解決した常設型屋外用ミスト式冷却機「グリーンエアコン」を開発し、2019年春に製品化すると発表。このグリーンエアコンを実際に体験できる記者向け説明会が、2018年7月24日に東京大学で開催されると聞きつけ、実際に涼しさを体感してみた。

グリーンエアコンの外観(クリックで拡大)

 記者説明会は午後2時〜3時にかけて開催され、体験当時の天気は晴れ、気温は33℃を記録(気象庁アメダスデータより)。グリーンエアコンが設置された東京大学駒場リサーチキャンパスもうだるような暑さで、グリーンエアコンの外観写真などを撮影するだけで汗が止まらなかった。写真撮影後、グリーンエアコンでミスト噴霧の中に入ると、かなり涼しい! とまではいかないが、涼を感じることができた。ミスト噴霧空間内部の気温は周囲から約4℃、ミストが拡散する周辺領域では約1℃低下するという。

 それでは、グリーンエアコンを構成する技術を簡単に見ていこう。前述したミスト噴霧による屋外冷房の課題を解決するため、パナソニックは

  • 微細ミストを形成するため、ノズルに同社が独自開発した2流体噴射弁を採用
  • 自然風によるミストの逸脱を防ぐべく、ミスト噴霧外部にトルネード型のエアカーテンを形成

するといった工夫を施した。2流体噴射弁で噴霧される微細ミストは平均粒径が10μmと非常に小さく、「ぬれ感がほぼ気にならない」(同社担当者)。トルネード型エアカーテンで守られるミスト噴霧は直径が2m、高さが1.1〜1.7mのドーム状領域に散布され、「成人で4〜5人が入るスペース」でミストの恩恵を最大限に受けることができる。

左:ミスト噴霧が形成されるノズル 右:ミスト噴霧による皮膚温度の変化。ミストを10分間浴びると0.7℃低下する(クリックで拡大)

 屋外エアコンとの比較について、記者から質問が上がると同社担当者は「エアコンはある空間からある空間へと熱を移動させるもの。ヒートアイランド現象にある都市部屋外では、(屋外エアコンと比較して)ミスト噴霧の方が入力電力に対する冷却能力が高い」と回答した。今回設置されたグリーンエアコンでは、消費電力が1.8kWに対して気化熱による冷房能力が約12kWになるという。平均的な使用によるランニングコストは、電気料金が月間で8000円程度(基本料金除く)、水の使用量は1日当たり90〜100Lとなる。

 同製品はオープン価格。販売目標については「2020年の東京五輪に向けて、現在は市場を注視している段階にあるが、5年間で500台程度の販売を想定している」(同社担当者)とした。また、仮設設置型の製品化も検討しているという。

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