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» 2018年08月08日 09時30分 公開

電解質と電極に良好な界面を作製:高出力全固体電池の超高速充放電、東工大らが実証成功

東京工業大学などの研究グループは2018年8月6日、高出力型の全固体リチウムイオン電池で極めて低い界面抵抗を実現し、超高速充放電の実証に成功したと発表した。

[松本貴志,EE Times Japan]

 東京工業大学と東北大学、日本工業大学は2018年8月6日、高出力型の全固体リチウムイオン電池で極めて低い界面抵抗を実現し、超高速充放電の実証に成功したと発表した。大電流による100回の高速充放電試験でも電池容量の変化はなく、今回の研究業績は「全固体リチウム電池の実用化の鍵であり、実用化を目指す上で大きな一歩」(東工大ら)としている。

 全固体電池は、高いエネルギー密度と安全性を両立した電池として期待されており、活発な研究開発が進められている。現在、全固体電池の電極材料として発生電圧4V程度の「LiCoO2」系材料が広く利用されているが、より高い5V程度の電圧を発生する「Li(Ni0.5Mn1.5)O4」系材料が注目を集めている。

 しかし、Li(Ni0.5Mn1.5)O4を用いた高出力型全固体電池は固体電解質と電極が形成する界面における抵抗(界面抵抗)が高く、リチウムイオンの移動が制限されるために高速充放電が困難だった。

薄膜作製技術と超高真空プロセスを活用し、界面抵抗を低減

 そこで、同研究グループは薄膜作製技術と超高真空プロセスを活用し、Li(Ni0.5Mn1.5)O4のエピタキシャル薄膜を生成。理想的な全固体電池を作製したとする。

左:作製した全固体電池の概略図 右:写真 出典:東京工業大学

 この全固体電池について、固体電解質と電極における界面のイオン伝導性を評価した結果、界面抵抗は7.6Ωcm2と極めて低い値となった。これは、従来の全固体電池から2桁程度低く、液体電解質と比較しても1桁程度低い値だという。さらに、活性化エネルギーを見積もったところ、0.3eV程度と超イオン伝導体と同程度の低い値を示すことが分かった。

今回開発した全固体電池の界面抵抗の交流インピーダンス測定結果。x軸が実部、y軸が虚部に対応し、赤の円弧の大きさから、界面抵抗の値を7.6Ωcm2と見積もることができる(クリックで拡大) 出典:東京工業大学

 また、低抵抗界面の安定性を確認するため大電流での充放電試験を行い、14mA/cm2という高い電流密度条件においても安定した高速充放電に成功した。100回の超高速充放電サイクルにおいても電池容量の変化は見られず、リチウムイオンの高速な移動に対して界面が安定であることを実証した。

全固体電池の超高速充放電試験の結果(クリックで拡大) 出典:東京工業大学

 さらに、全固体電池の構造解析を行った結果、固体電解質と電極の界面を形成した直後に、固体電解質から電極へ向けてリチウムイオンが自発的に移動していることも明らかとなった。界面近傍でのイオン輸送について学理を構築する上で意義深い現象だとして、今後さらなる電池特性の向上につながる界面設計指針の構築に期待できるとしている。

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