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» 2018年08月16日 09時30分 公開

福田昭のデバイス通信(158) imecが語る最新のシリコンフォトニクス技術(18):半導体レーザーとシリコン光導波路を接続する技術(前編) (1/2)

今回は、光源となる半導体レーザーとシリコン光導波路を結合する技術を解説する。

[福田昭,EE Times Japan]

半導体レーザーはシリコンでは作れない

 半導体デバイス技術に関する国際会議「IEDM」では、カンファレンスの前々日に「チュートリアル(Tutorial)」と呼ぶ技術セミナーを開催している。2017年12月に開催されたIEDMでは、6件のチュートリアルが開催された。

 その中から、シリコンフォトニクスに関する講座「Silicon Photonics for Next-Generation Optical Interconnects(次世代光接続に向けたシリコンフォトニクス)」が興味深かったので、その概要をシリーズでお届けしている。講演者は、ベルギーの研究開発機関imecのJoris Van Campenhout氏である。

 なお講演の内容だけでは説明が不十分なところがあるので、本シリーズでは読者の理解を助けるために、講演の内容を適宜、補足している。あらかじめご了承されたい。

 前回は、光ファイバーとシリコン光導波路を結合する技術をご紹介した。今回は、光源である半導体レーザーとシリコン光導波路を結合する技術を解説しよう。

 まず基本的な前提として、半導体レーザーはシリコン(Si)半導体では作れない、という事実がある。シリコンは発光しない。半導体レーザーや発光ダイオード(LED)などの発光デバイスに使われる材料は、III-V族の化合物半導体である。

 そして材料組成によって半導体レーザーの発光波長が異なる。シリコンフォトニクスで主に扱う波長は1300nm〜1600nmである。この波長帯域に対応する半導体レーザーは、III族のアルミニウム(Al)とガリウム(Ga)、インジウム(In)、V族のヒ素(As)とリン(P)から、元素を選択した化合物半導体となる。基板はシリコンではなく、ふつうはインジウムとリンの化合物(InP基板)が使われる。このため、「InP系レーザー」と呼ばれることが多い。

 つまり、シリコンフォトニクスで使われる半導体レーザーは、InP基板を使って結晶成長技術によって製造する。シリコン(Si)基板では格子定数の違いなどの問題があり、直接成長させることはほぼ不可能であり、バッファ層を入れたとしても良好な品質のIII-V族化合物半導体をSi基板から作成することは難しい。

 従って半導体レーザーはシリコンウエハーのプロセスとは別に、InP基板で製造しておく。後でアセンブリ技術によってシリコンダイあるいはシリコンウエハーに接続する。「ハイブリッド・レーザー集積化」とも呼ばれる。

半導体レーザーとシリコン光導波路を結合する方法「ハイブリッド・レーザー集積化」の例。左上はレーザーと光学系をまとめたモジュール、左下はシリコンウエハーにレーザーダイを貼り付けたデバイス、右はシリコンウエハーにレーザーダイをフリップチップ接続したデバイス。出典:imec(クリックで拡大)

 「ハイブリッド・レーザー集積化」の方式はいくつか存在する。代表的な方式は、レーザーと光学系をまとめたモジュール(レーザー・サブアセンブリ)、シリコンウエハーにレーザーダイを貼り付ける方式(ダイ・ウエハー・ボンディング)、シリコンウエハー(あるいはシリコンダイ)にレーザーダイをフリップチップ接続する方式(フリップチップ・レーザー)である。

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