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» 2018年09月05日 11時30分 公開

技術、市場動向が断片化する中:セルラーLPWA向け製品、成功するための要素を探る (1/3)

モバイルネットワーク事業者による「LTE-M」や「NB-IoT」の展開を受け、デバイスメーカーは、新興市場の需要を満たすソリューション開発の加速が求められている。ソリューションで成功するには、最適なセルラー技術とネットワークに合わせて設定できるグローバル対応のデバイスを活用して、導入、運用、保守がシンプルな通信プロトコルと、消費電力を重視したデバイス管理を実現することが鍵になる。

[Patty Felts(ユーブロックス),EE Times Japan]

IoTでの利点は明確も、市場動向は断片的なセルラーLPWA

 グローバル・セルラー通信技術は進化を続けている。IoT(モノのインターネット)のニーズに応えるLPWA(省電力広域)技術も例外ではない。中でも、「LTE-M」および「NB-IoT」といったセルラーLPWA技術は、データスループットと遅延を重視せず、消費電力、カバレッジ、コストおよび信頼性を最適化したハードウェアを利用することで、主にプロフェッショナル向けや商業用のさまざまなユースケースに用いられている専用技術の強力なライバルとして、その地位を確立しつつある。セルラーLPWA技術は、サービス品質が保証されるため、まったく新しい市場を開拓し、IoTの普及と影響力を増大させる可能性があるのだ。

 セルラーLPWA技術は、SIGFOX、LoRaWAN、RPMA(Random Phase Multiple Access)などの専用技術と比較して、いくつかの利点がある。

 まず、セルラーLPWA技術はモバイル通信のライセンス・スペクトルを使用するので、通信が混雑することがない。また、3GPP策定の標準規格なので、主要市場におけるハードウェア認定が容易になる。世界中に普及しているモバイル・ネットワーク・インフラストラクチャを利用するので、ソフトウェアのごく一部をアップグレードするだけで運用が可能になる場合もある。そのため、セルラーLPWA技術は信頼性とセキュリティが高く、導入と保守が比較的容易な技術となっている。

 IoTアプリケーションにおけるセルラーLPWA技術の利点は明確な一方で、デバイスメーカーにとっては、セルラーLPWAの技術、市場、規制の将来展望はあまりにも断片的だ。大手通信事業者が支持するLTE-Mは、米国やメキシコなど、各国で展開されている。一方で中国をはじめとするアジアでは、欧州と同様にNB-IoTが優勢だ*1)。われわれは転換点にきているといえるだろう。携帯通信事業者の業界団体GSMA(GSM Association)によると、モバイルIoTネットワークの規模拡大に伴い、2018年中にさらに多くのネットワークの運用が開始される見込みだという*2)

*1)参考資料1:GSMAサイト
*2)参考資料2:GSMAサイト

2GとLPWAを比較する

 LPWAネットワークが世界展開されると、製品設計者が通信技術を選定する上で重要な要素となるのがカバレッジだ。LTE-MとNB-IoTはそれぞれに際立った特徴があり、特定のアプリケーションに最適な技術となっている。

表1:LPWA技術の比較 出典:u-blox(クリックで拡大)

 LPWA技術の主な相違点は、(i) 応答性、(ii) 範囲、(iii) 音声サポート、(iv) データ・レート、(v) モビリティ、(vi) バッテリー寿命である。以下に、2G(第2世代移動通信)、LTE-M、NB-IoTの3つについて主な特長を述べる。

2G:音声サポート、1つのネットワークセルから次のセルへのフルハンドオーバー、1秒からミリ秒範囲の遅延を提供するが、FOTA(ファームウェアの無線アップデート)機能と深部への到達性に欠けており、車両運行管理、追跡システム、ユティリティメーターなど、産業向けのニーズに適している。低価格な反面、データスループットが比較的低く、段階的に廃止の方向にある。

LTE-M:LTE技術をベースとしたLTE-Mは、地下への到達性を拡張した低遅延のモバイル通信を提供し、音声通信および高速データ転送をサポートする。そのため、スマートビルディングやスマートシティー、消費者向けや医療、車両や資産の追跡など、さまざまなアプリケーションに最適となっている。

NB-IoT:M2M(Machine to Machine)通信向けのNB-IoTは、低データレートかつ高遅延だが、地下深部への到達性が高く、バッテリー寿命は10年以上維持できる。そのため、ユティリティメーターやスマートシティー、その他の超低消費電力アプリケーションなど、ほとんどの時間はスリープ状態にあり、長いインターバルをおいて小さなデータパケットを送信する、消費電力重視の据え置き型アプリケーションに最適である。

 これら3つの技術の可用性と適応性を並べてみると、最適な技術が普及していない地域向けのアプリケーションを開発しようとしているデバイスメーカーは難問に直面することが分かる。メーカーは、最適な技術が普及するのを待ってから、ソリューションを導入すべきだろうか。あるいは、市場での地位を確保するために、次世代の通信技術を活用した初期バージョンの製品を投入すべきなのだろうか。

図1:市場とアプリケーション

 製品に、ある程度の技術的汎用性を持たせておく――、つまり、最適な技術が利用できるようになった時に、すぐにその技術に切り替えられるような製品設計であれば、単一の技術にしか対応できない他の製品よりも優位性がある。多種多様な環境での運用やアップデートが求められるグローバル・アプリケーションでは、この点がさらに重要になる。

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