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» 2018年09月27日 11時30分 公開

この10年で起こったこと、次の10年で起こること(28):「XPERIA XZ2 Premium」にみる、スマートフォンの主戦場“カメラ周り”最新動向 (1/3)

2基のカメラを搭載する「デュアルカメラ・スマートフォン」が当たり前になりつつある。今回は、ソニーとして初めてデュアルカメラを搭載したスマートフォン「XPERIA XZ2 Premium」の内部を観察していく。

[清水洋治(テカナリエ),EE Times Japan]
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 2018年9月21日に新型iPhoneが発売され、また今秋には中国HUAWEIの2018年フラグシップスマートフォン「MATE20」が発売されることが明らかになっている(なお、本記事は2018年9月20日以前に執筆)。両機種ともに筆者が代表を務めるテカナリエでは最優先で分解して調査していく予定だが、この記事執筆時点では2機種はまだ発売されておらず、順次本連載で言及していくことにしたい。

 スマートフォンは低成長期に入ったとはいえ、相変わらず新しい技術が続々と盛り込まれている。特に著しい進化を遂げている部位がカメラ周りだ。今回の記事では詳しく触れないが、中国製のスマートフォンは、無名に近い第2グループに属するスマートフォンメーカー製品でもほとんどがデュアルカメラを搭載している。今やデュアルカメラなしでは、「スマートフォン」を名乗れないほどだ。

第1次デュアルカメラブームと第2次デュアルカメラブーム

 デュアルカメラ搭載スマートフォンは5〜6年ほど前から、多くのメーカーが製品化してきた。韓国LG Electronicsの「LG-P920」やシャープの「SH-12C」、台湾HTC(当時)の「M8」などが有名だ。『3Dカメラ』を名乗ったり、『ステレオカメラ』として発売されたりしてきたが、なかなかブレイクするまでには至らなかった。

 今回のデュアルカメラブームは前回のブームと異なり、スマートフォンの定番機能として定着していくのは間違いない。上記のステレオカメラや3Dカメラは同じセンサーを2個並べての角度の異なる映像を単に合成したもので、画質そのものを加工するものではなかった。それに対して、今回はモノクロ映像とRGB映像を合成し、奥行きを持った解像度の高い映像処理をしているからだ。

 第1次デュアルカメラがおおよそ5〜6年前に市場に投入された際のイメージセンサーの画素数は4Mピクセルから8Mピクセル程度だった。またHDR(High Dynamic Range)処理などもなく、主にHD画像が扱われていた。しかし現在のスマートフォンは半導体技術の進化によって、解像度は4Kに達した上に、ほとんどのプロセッサで画像合成処理が可能になっている。2010年当時の最先端半導体プロセスルールは65nmから45nmだった。現在は16/14nmから12/10nmへと進化した。単純計算になってしまうが、前回のデュアルカメラブームから今回のデュアルカメラブームまで3世代から4世代の隔たりがある。各世代間で性能が2倍向上したとすると、おおむね8倍から16倍の進化が果たされたことになる。この数字がそのままデュアルカメラ化につながったわけではないが、扱う画素数や合成処理を可能にするにはプロセッサ能力の向上も必要で、そのために進化が使われてきたといえるだろう。

 またカメラのセンサーとプロセッサの接続も高速化されており、センサーの撮像速度も上がっている。これら複合的な技術進化が第2次ブームとも言える今回のデュアルカメラブームを支え、中国の激安スマートフォンでさえもデュアルカメラを搭載するに至っている。

後発でデュアルカメラを採用したソニー「XPERIA」

 デュアルカメラがすっかり定着しつつある中で、かなり後発でスマートフォンにデュアルカメラを搭載したメーカーがソニーである。ソニーは2018年7月に初のデュアルカメラ搭載スマートフォン「XPERIA XZ2 Premium」を発売した。図1はXPERIA XZ2 Premiumの外観、取り出した基板の様子、NFC(近距離無線通信)チップや指紋認証チップの様子である。

図1:ソニー初のデュアルカメラ搭載スマートフォン「XPERIA XZ2 Premium」 (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 背面にデュアルカメラが配置され、その下に指紋認証チップが埋め込まれている。指紋認証チップは中国製だ。このチップは多くの中国スマートフォンでも指紋認証に活用されるものである。筐体の下にはプロセッサを搭載する基板がある。基板には多くのチップが搭載されている。その基板の上にサブ基板が搭載されている。サブ基板にはNFCコントローラチップが載っている。また取り囲むように通信用アンテナコイルが基板の上に配置されている。ソニーといえば自前のNFCチップを有し、腕時計型ウェアラブル端末「WENA(第2世代)」やポータブル音楽プレーヤー「ウォークマン」など多くの機器で自前のNFCチップを使っているが、XPERIA XZ2 PremiumではオランダのNXP Semiconductors製NFCチップを採用している。

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