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Armが「Cortex-A76AE」を発表、Split-Lockを搭載さらなる安全性の向上に向け(2/2 ページ)

» 2018年10月09日 13時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]
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「Split-Lock」を搭載

 同氏は、「Armは今まで、『Cortex-R』でASILに対応してきた。NXPとルネサスは、これらのCPUコアを使用している」と付け加えている。

 Armは、「今回発表した『Cortex-A76AE』は、Split-Lock機能と、自動運転車用アプリケーションや高い安全性の実現に必要な処理性能を組み合わせた、業界初となる高性能アプリケーションプロセッサだ」と説明する。

 またCortex-A76AEは、ワット当たりの性能向上も実現する。Mandyam氏は、「自動運転向けクラスの25万DMIPSの性能を備えたSoCの電力消費量は、一般的に約30Wだ。一方、7nmプロセスを適用した6コアのCortex-A76AEをベースとし、システムIP『CoreLink CMN-600AE』を導入したSoCは、同等性能を実現しながらも、消費電力はわずか15W程度である」と指摘する。

 Demler氏は、「Cortex-A76は、Armの最高性能を実現するCPUであるため、車載用チップメーカーにとっては、性能向上を実現する上で、旧型の32ビット CPU『Cortex-R』よりも大きな後押しとなるだろう。なお、新しいSplit-Lock機能は、Cortex-Rコアではサポートされていない」と述べる。

 Armは、「Split-Lock機能は業界初というわけではないが、自動運転機能など、高性能自動運転車アプリケーション向けのプロセッサとして独自開発したという点では、Armが初めてとなる」と述べる。

 Armの新しいSplit-Lock機能の最大の特長は、これまでにない柔軟性を実現したことだ。

 Armは、以下のように説明している。

  • SoCのCPUクラスタは、クラスタ内の2つ(または4つ)の独立系CPUを、さまざまなタスクやアプリケーション向けに使用することが可能な、高性能向けのSplitモードに設定可能
  • または、CPUがロックステップの中にある“Lockモード”に設定することで、クラスタ内でロックされた1ペア(または2ペア)のCPUの安全性インテグリティを高めることも可能
  • CPUクラスタは、いずれかのモードを組み合わせて、ポストシリコンの生産でも設定することが可能

 McGregor氏は、「今すぐにでも実行することは可能だが、ゼロから始めるには相当な量の設計専門知識が必要となる。Armは、パートナー企業向けに、これらの安全機能を備えたプラットフォームをもっと簡単に実現できるようにしている」と述べる。

 また同氏は、「Armは、自社の技術を適用した設計を実証するためとして、最初のドキュメンテーションの一部を提供するという難しい作業を進めている。このためArmは、セーフティクリティカルなアプリケーション向けに、認証の削減と市場投入までの期間短縮を実現する、基本設計とドキュメンテーションを提供している」と述べる。

左は従来の冗長設計で、右はArmの「Split-Lock」による冗長設計 出典:Arm(クリックで拡大)

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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