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» 2018年10月11日 10時30分 公開

ハードの導入準備はほぼ完了か:近づく本格展開、新しいエコシステムを生み出す5G (1/3)

2017年12月は、5G(第5世代移動通信)システムの標準化に向けた重要な節目となった。5G New Radio(5G NR)規格の「Release 15」の前半が3GPPによって批准されたからだ。2018年6月には、5G NR Release 15の後半の批准という次の節目が早くも迫っている。

[Sarah Yost(National Instruments),EE Times Japan]

5Gにおいて重要な節目だった2017年12月

 2017年12月は、5G(第5世代移動通信)システムの標準化に向けた重要な節目となった。5G New Radio(5G NR)規格の「Release 15」の前半が3GPPによって批准されたからだ。2018年6月には、5G NR Release 15の後半の批准という次の節目が早くも迫っている。

 規格が最終決定されたことで、このリリースされた仕様策定に基づいて構築された商用デバイスやインフラストラクチャの実地試験、リリース前テストなどが行われている。こうした動きは全て、5Gの商用展開の開始が近づいていることを意味している。

 2018年2月に開催された「MWC(Mobile World Congress)」では、5Gの“高速ぶり”を前面に押し出し、仮想現実(VR)のような派手なアプリケーションをアピールするデモンストレーションが盛んに行われた。2017年のMWCと比較すると、2018年の技術の進歩はかなり印象的である。

5G=単なる新しい移動通信の標準化ではない

 5Gの最も印象的な側面の一つは、「単なる新しい移動通信システムの標準化ではない」ということだ。同規格を中心として、幅広い業界やアプリケーションを網羅したエコシステムが構築されようとしている。

 これまでの規格とは異なり、5Gには、従来の移動通信システムにおけるユースケース以外のアプリケーションを実現するために、あらゆるパフォーマンス基準値が意図的に含まれている。もちろん、5Gの高度モバイルブロードバンドに向けたパフォーマンス基準値もあるが、その他にもネットワークに同時接続するデバイスの数を増やすためのパフォーマンス基準値や、遅延に関する仕様もある。

 デバイスの接続数が向上することで、現在のLTEの性能だけでは実現不可能な規模のIoT(モノのインターネット)やIIoT(産業用IoT)が可能になる。また、遅延の仕様は、確定的通信が必要なアプリケーション(人命が関わるアプリケーションなど)や、テクノロジーと人がリアルタイムで対話するアプリケーションを可能にする。

 モバイルブロードバンド、接続するデバイス数、遅延という3つに関する仕様領域はそれぞれ、新しく、より広範なユースケースを実現可能にするが、5Gを中心とした豊かなエコシステムを生み出す上で重要なのは、これら3つを組み合わせることだ。以下の図は、5G性能の各要素が、さまざまなアプリケーションにおいてどのように活用されるのかを示しています。

図1 5Gのアプリケーションと技術的ニーズ(クリックで拡大)

 上述の通り、2017年12月に発表された3GPPの規格は、数多くのReleaseの1つ目にすぎない。

 5Gは、LTEと同様の設計サイクルに従うことになる。LTEの標準化は、開始以来の9年間で複数のReleaseと更新が行われてきた。LTEが初めて導入されたのは、3GPP Release 8である。現在、3GPPはRelease 15の完成に向けて取り組んでいて、5G NR仕様が含まれる予定だ。

 2017年12月に、ノンスタンドアロン(NSA)と呼ばれる5G NRの特殊なユースケースが固まった。5G NRのNSAユースケースは、LTEのコアネットワークを使用して運用するという点で重要になる。これは、5G NR NSAを運用するのに新しいインフラストラクチャを展開、導入する必要がないことを意味する。スタンドアロン(SA)バージョンの場合は5Gのコアネットワークを使用するので、恐らくは、新しいネットワーク機器を導入する必要がある。

 今後数カ月間、研究者たちは5G NR SAユースケース規格の完成に向けて熱心に取り組み、機器ベンダーは、規格リリースに向けてスタンドアロンのユースケースをサポートできるハードウェアを設計していくことになる。

図2 3GPPのReleaseスケジュール(クリックで拡大)
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