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» 2018年10月10日 10時00分 公開

安心・安全を担保しながら:自動運転の実現へ、着実に歩みを進めるセンシング&コネクティビティ技術

自動車のトレンドで注目を集める「自動運転」。ただ、自動運転の実現に向けては、さまざまな技術課題が存在するのも事実だ。そうした中で、NXP Semiconductorsは、ドライバーの目や頭脳に代わるセンシング/プロセッシング技術の開発を着実に進めている。さらに、コネクティビティ技術を組み合わせ、より安心、安全な自動運転の時代を切り拓きつつある。

[PR/EE Times Japan]
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 自動車の普及によって日常の生活は一変した。移動手段としての利便性や快適性に加え、運転する楽しみも増えた。一方で、人為的ミスによる事故の増加や、排ガスなど環境問題も発生した。こうした課題の解決に、エレクトロニクス技術が貢献する。自動車の技術革新の90%はエレクトロニクス技術で実現するといわれている。先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)もその一つだ。車載半導体市場で世界シェア首位*1)のNXP Semiconductorsは、将来の「自動運転」を見据えて、高度なADASやセキュアなコネクティビティの実現に向けたソリューションを提供する。

 ドライバーの運転操作を支援するADASは、自動車の安全性向上に向けて、その実装率が急拡大している。例えば、車両の周囲情報を収集するために、イメージセンサーやミリ波帯レーダー、LiDAR(ライダー)および、これらの信号処理や画像処理を行うためのLSIなどが用いられている。また、車車間通信(V2V:Vehicle to Vehicle)や路車間通信(V2I:Vehicle to Infrastructure)といったV2X(Vehicle to Everything)では、DSRC(Dedicated Short Range Communications)などの無線通信技術が用いられる。

 NXPは、実車を用いた自動運転のシステム検証に早くから取り組んできた。例えば、2016年よりMANやVOLVO、Daimlerといった欧州のトラックメーカー6社と手を組み、隊列走行のシステム検証を行っている。このシステムには、NXP製のミリ波帯レーダー製品や信号処理などを行う車載マイコン、IEEE 802.11pに準拠したDSRCモデムICなどが利用されているという。

 隊列走行は、複数のトラックが時速約80kmで10m間隔、時間にして約0.5秒の差で自動走行する。隊列走行による効果としては、燃費の改善やCO2削減などが期待されている。実験結果から、単独走行に比べて燃費は10%程度改善されることが分かった。また、物流業界では運転手の人材不足に対する問題改善への可能性として高く注目している。

ミリ波帯レーダー:CMOS技術やAiP技術で差異化

 自動運転の領域においてNXPの強みは、包括的に感知、識別できるミリ波帯のレーダー・ソリューションを提供できることだ。20〜30mの短距離から250mという長距離まで全てのレンジ(0m含む)をカバーしつつ、今後要求が高まる全方位 (360°)のデータ収集やイメージのマッピングを含めたソリューションなども用意する構えだ。

 ミリ波帯レーダー製品市場は2021年までに、年率21%の成長が予測されている。数量ベースでは2〜3倍に膨らむとの見方もある。米国で実施されている自動車の安全性テスト「新車アセスメントプログラム(NCAP:New Car Assessment Program)」対応や、自動車の四隅に取り付けるコーナーレーダーの搭載率向上、自動運転車への移行に伴う部品需要などが市場の伸びを支える。

インフォテインメント・ADAS製品統括部 統括部長 園田慎介氏

 NXP日本法人でインフォテインメント・ADAS製品統括部の統括部長を務める園田慎介氏は、同社がミリ波帯レーダー製品に注力する理由について、「ミリ波帯レーダー製品はこれまで、車両前方の中長距離エリアにおける物体検知が主な用途で搭載数も限られていた。これが、MMIC(Monolithic Microwave IC)を実現する統合技術、低価格に向けた新たなプロセス技術の導入や小型パッケージ技術などによって、あらゆるアプリケーション・エリアをカバーできるようになる。コーナーレーダーなども搭載が進む。自動運転など用途が多岐にわたるため1台当たりの搭載数も増え、需要が拡大する」と話す。

レーダーがカバーするエリア
NXPが提供するレーダー・モジュール製品

 NXPは10年以上も前から、車載システム向けにSiGe(シリコンゲルマニウム)ベースのミリ波帯レーダー・トランシーバICを開発、信号処理部も含めチップセットの形で提供してきた。この結果、「SiGeベースの製品では、半分の市場シェアを獲得している」(園田氏)という。

 今後の製品展開としてはSiGeベースの製品の量産に並行して、RFCMOSベースのレーダー・トランシーバMMICの開発に注力していく。「高性能で低消費電力、パッケージサイズの小型化を実現するためにはミリ波帯レーダーもCMOS化が不可欠」(園田氏)と判断したからだ。CMOS化により製造コストの低減も可能になるという。全方位のデータを収集するためには、少なくても6個以上のミリ波レーダー製品を搭載する必要がある。しかも量産車に実装する場合、車両のデザイン性を考慮しなければならない。ミリ波帯レーダーの需要拡大は、「BOMコスト」と「パッケージサイズ」がカギを握るとみている。

 NXPは、モジュールの小型化要求に対して、AiP(Antenna in Package)技術を開発中である。この技術を用いて、アンテナ一体型のトランシーバMMICも試作している。従来のモジュールは外形寸法が40mm角程度であったがAiP技術を適用することで12mm角ほどのパッケージサイズを実現し、モジュールサイズもおよそ半分程度の小型化を可能にし、コーナーレーダーなどの用途でバンパーやその周辺に組み込むことも容易となる。

 AiP技術を適用した製品は、3Tx × 4Rxチャネルのシステム構成が標準となっており、30〜40mの距離における物体検出に適している。近未来のコーナーレーダーに向けては、信号処理部も含めて、より解像度を高めたミリ波帯のレーダー・ソリューションを用意する計画もある。

 一方、長距離レーダー製品としては、温度特性に優れ高出力が得られるSiGeレーダー・トランシーバMMICを用意している。4個のMMICをカスケード接続し16Rxチャネルに対応させることで高精細な物体検出を実現することができる。

 今後は、低消費電力で1チップに集積可能なCMOSベースのMMICで、長距離の領域もカバーする方針である。CMOSベースのMMIC製品は現在、40nmプロセス技術を用いて製造している。次期製品は同じ40nmプロセス技術を用いるが、より高温特性に優れた製品となる。次々世代の製品は28nmプロセス技術を採用し、さらにロバスト性を高めた製品を開発する計画だ。

1チップに集積したIEEE 802.11p準拠のDSRCモデムIC

 自動運転を実現するためには、車車間あるいは車両と外部の無線装置間で安全かつ確実にデータを通信、伝送するための「コネクティビティ」も重要となる。V2Xは走行中の車両に緊急車両が接近していることを警告したり、交通弱者と呼ばれる歩行者やバイクが近くにいることを検知して知らせたりする。周囲の状況を運転者が事前に察知することで、事故を未然に防ぐことができる。

 NXPは、V2XにおいてDSRC/IEEE 802.11pの無線通信ソリューションを用意している。第2世代となるIEEE 802.11p準拠のDSRCモデムIC「SAF5400」は、760MHzと5.9GHzの周波数に対応するフロントエンド部と信号処理回路の機能を1チップに集積した。NXP製のアプリケーション・プロセッサ「i.MX」ファミリなどと組みあわせて、拡張性のあるソリューションを提供する。

セキュアなV2Xを実現する

 また、電子パスポートやクレジットカードに採用されるなど、既に多くの実績を持つセキュリティ機能をハードウェアで搭載した。これにより、サイバー攻撃によるプログラム改ざんなどのリスクを回避することができる。さらに、ソフトウェア無線(SDR:Software Defined Radio)技術により、北米だけでなく日本や欧州、韓国など地域によって異なるV2X/DSRCの無線通信規格にも柔軟に対応することができる。

 NXPのV2Xソリューションは既にGeneral Motors(GM)製キャデラックの2017年モデルに搭載された実績を持つ。また、V2X搭載を考える全ての車両メーカーへの対応も順次進めているという。

車載プロセッシング・プラットフォーム:S32ファミリ

 上述のミリ波帯のレーダー・トランシーバMMICや、V2Xに向けたIEEE 802.11p準拠のDSRCモデムICは、NXPが定義する「自動運転」や「コネクティビティ」のドメインにおける「SENSE(検知・検出)」の領域に当たる。この領域で検知・検出した情報を処理するのが「THINK(判断)」の領域だ。NXPはこれらの領域に、多彩なMPU/MCU製品を提供している。

 ADASに向けたMPU/MCU製品としては、ミリ波帯のレーダー・システムに対応する「S32R」や、ビジョンシステムに対応する「S32V」がある。特にNXPは、ミリ波帯レーダー・システム向けMCU市場で、トップクラスのシェアを有するメーカーである。ミリ波帯レーダーで収集した信号を高速処理するための「FFTアクセラレータ (SPT: Signal Processing Toolbox) 」を、S32RにIPとして組み込んでいるのが同社の強みだ。

 S32Vは、イメージセンサーなどを用いたフロントビュー、サラウンドビュー、リアビューおよび、ドライバーモニターなどで撮影した映像信号を入力して処理を行う。次世代S32Vは歩行者や自転車などの交通弱者の検知/分類と自動緊急ブレーキ(AEB)の作動を目的とする「NCAP2020」の要件にも適合するという。

 米国ラスベガスで2018年1月に開催された「CES 2018」会場では、ドイツのHELLA Aglaiaや韓国LG Electronicsと、ADASや自動運転車向け技術開発で協業すると発表した。これは、S32VをベースとしたADASおよび自動運転車向けプラットフォーム「Automotive Vision Platform」の活用を基本としている。このシステムは交通標識の検知、ドライバーへの速度制限通知、車線維持監視、意図しないドリフト発生時のステアリング修正を行うことも可能になる。

 同社の強みは、オープンなAPI(Application Programming Interface)やソフトウェア開発環境を用意していることだ。Tier1や自動車メーカーに対して、柔軟性のある自動運転車開発プラットフォームを提供する。

車載マイクロコントローラ製品統括部テクニカルマーケティング担当マネージャ 早坂学氏

 NXP日本法人の車載マイクロコントローラ製品統括部テクニカルマーケティング担当マネージャを務める早坂学氏によれば、「PC上で動作するオープンソースの機械学習のモデルを、S32Vに実装するためのツールも開発している」という。これまでの信頼性の高いルールベースの画像認識処理と合わせて、高い認識精度を可能にする機械学習ベースの推論処理もS32Vで可能となる。

自動運転に向け、NXPが提供するセンサー・フュージョン・ソリューション

 さらにNXPは、自動運転システム開発環境「BlueBox」を用意している。BlueBoxを用いて、ミリ波レーダーや車載カメラ、ライダーといったセンサー情報、ならびにV2Xモジュールなどの情報を統合・リアルタイム処理し、自動運転の認識や判断、操作などを検証し評価することができる。これらの開発評価をBlueBox上で迅速に行えるElektrobit社のEB robinosIntempora社のRTMapsが既に利用可能となっている。

 第二世代の「BlueBox 2.0」をベースとした「Automated Drive Kit」は、AutonomouStuff社から自動運転に必要なセンサー類やソフトウェアをセットで入手でき、さらにはそれらを車両に組み込んだ状態で購入し、自動運転車向けのソフトウェア開発を短時間に着手可能とする。また、Baiduとの提携により、BlueBox上で「Apollo Open Autonomous Driving Platform」を利用することが可能となった。

 なおNXPはこれらのMPU/MCUの後継として新たな車載プロセッシング・プラットフォームをベースとするS32ファミリを開発した。S32ファミリの開発コンセプトとしてNXPは、「従来の車載用MPU/MCUに比べて処理性能は10倍以上」「ソフトウェア再利用率90%を実現するスケーラビリティ」「最も高い機能安全の要求レベルである『ASIL-D』に対応」「OTA(Over the Air)に対応するセキュリティ機能の提供」などを挙げている。このS32アーキテクチャをベースに、次世代のレーダーやビジョン向けプロセッサ製品だけではなく、BlueBoxの機能を1チップで実現できるプラットフォームも開発中だという。


【出典】
*1)Strategy Analytics「Automotive Semiconductor Vendor 2017 Market Shares(2018 Apr)」

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提供:NXPジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2018年11月9日

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