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CEATEC JAPAN 2018 特集

金属上でも特性劣化なし、京セラが新型アンテナ車体など設置場所を選ばない

京セラは、「CEATEC JAPAN 2018」で、金属や水の近くで使用しても電波強度が低下しない新型アンテナ「Amcenna(アムセナ)」を展示した。

» 2018年10月16日 09時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

5Gやミリ波レーダー向けにも対応可能

新型アンテナ「Amcenna」を実装した通信モジュールの外観

 京セラは、「CEATEC JAPAN 2018」(2018年10月16〜19日、千葉・幕張メッセ)で、金属や水の近くで利用しても電波強度が低下しない新型アンテナ「Amcenna(アムセナ)」を展示した。小型・薄型化が可能で設置場所を選ばないため、車体や産業機器、ウェアラブル機器などへの実装に適している。

 アンテナは、金属や水が近くにあると、これらの表面で位相が反転して電波が打ち消され、放射特性が劣化していた。この解決策として、金属や水とアンテナ部を遮断する壁に、自然界に存在しない性質を持つ人工磁気壁(AMC:Artificial Magnetic Conductor)を用いることが、これまでも行われてきた。しかし、小型で薄型化を実現するには課題もあった。

 Amcennaは、AMCの小型化を実現するとともに、アンテナの放射パターンを分析して、AMC自体にアンテナ機能を持たせることで、一体化に成功した。試作した2.4GHz帯向けAmcennaは、独自構造によって外形寸法を7.0×13.6mmまで小型化した。これまでは同等機能を実現するため、80mm角のAMCとアンテナを組み合わせていたという。こうした従来製品に比べて、「占有面積を60分の1以下に削減。厚みも1.9mmまで薄型とした。従来の3.8mm厚に比べて、約半分に抑えた」(説明員)と話す。

 ブースでは、Amcennaを搭載した無線通信モジュールを参考展示した。形状は500円玉相当だが、これはコイン電池のサイズによるもので、実際にはさらなる小型化も可能という。さらに、直交配置で近接MIMOに対応できることもデモを交えて紹介した。

 今回試作したのは2.4GHz帯向けのアンテナだが、5G(第5世代移動通信)やミリ波レーダーなどに用いる周波数帯向けアンテナも実現可能だという。同社は今回の開発成果を、アンテナ単体ではなく、無線部などと組み合わせた通信モジュールとして提案する予定である。

 なお、CEATEC JAPAN 2018に展示された技術や製品、サービスなどの中から、イノベーション性が高く、優れていると評価して表彰する「CEATEC AWARD 2018」で、Amcennaは「総務大臣賞」を受賞した。

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