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» 2018年11月15日 13時30分 公開

当初計画を半年前倒し:Intelの5Gチップ開発をAppleが後押し

Intelが、統合型5G(第5世代移動通信)モデム「XMM 8160」の開発計画を発表した。市場が最高の状態に達するとみられる2020年の実現を目指すという。これを受けてQualcommは、統合型チップセット開発の取り組みを加速させることにより、2019年を通して、5Gのみに対応したモデム向けの数少ない顧客の大半を確保していくのではないかとみられている。

[Rick Merritt,EE Times]

 Intelが、統合型5G(第5世代移動通信)モデム「XMM 8160」の開発計画を発表した。市場が最高の状態に達するとみられる2020年の実現を目指すという。これを受けてQualcommは、統合型チップセット開発の取り組みを加速させることにより、2019年を通して、5Gのみに対応したモデム向けの数少ない顧客の大半を確保していくのではないかとみられている。

 Intelは、「XMM 8160は、LTEと2G、3Gをサポートする。出荷時期に関しては、当初の計画を6カ月前倒しして、2019年後半には開始できる予定だ」と述べている。最大6Gビット/秒のデータ伝送速度を実現し、ミリ波と6GHz未満の帯域向けのバージョンも用意する他、スタンドアロン、ノンスタンドアロンの5Gモードもサポート可能だという。

Intelの第5世代移動通信モデム開発計画 (クリックで拡大)

 Intelの広報担当者は、「初期に発表した5Gのみに対応可能なモデム『XMM 8060』は、製品というよりは、むしろ開発プラットフォームになってきている」と述べる。米国の市場調査会社であるABI Researchで戦略的技術担当バイスプレジデントを務めるMalik Saadi氏は、「このためIntelは、2019年の5G始動のタイミングを見逃す可能性があるが、Appleや、パートナー企業であるSpreadtrumなどの顧客企業からの大規模な発表に狙いを定めているようだ」と指摘する。

 Intelが、5G推進の早い段階で統合型製品に注力していく動きを見せていることから、Appleないし中国の複数の大手携帯電話機メーカー、またはその両方からのサポートを受けているということが分かる。Saadi氏は、「Intelは今後、初めて実用化する5Gチップで、少なくとも3億個の出荷数量を確保できるのではないか。すべてのチップセットメーカーが、このような業績を実現できるとは限らない」と述べる。

 ABI Researchによると、5Gデバイスの出荷数量は、2023年末までに約7億2870万台に達する見込みだという。また、2019年の販売台数は約1850万台となる見込みで、市場はゆっくりと動き始めるようだ。

 初年度の売上高に関しては、Qualcommがその大半を占めるとみられるが、Samsung ElectronicsとHuaweiもその他の一部を確保することになるだろう。SamsungとHuaweiは、MediaTekのような、セルラーモデムの市場投入に後れを取っている他のメーカーと協業することにより、2020年までに5Gモデムを独自開発するとみられる。

 Saadi氏は、「Qualcommは、Intelの今回の発表に対して迅速に反応し、5Gだけでなくそれ以前の規格にも対応可能なモデムの開発計画を加速するとみられる。しかし通常、適切な効率性や性能、規模を確保して統合を実現するには、時間がかかる。Intelは、Appleとの提携により、確実にスケールを生み出すことが可能だ」と述べる。

 LGは、2019年初めには5G対応携帯端末の出荷を開始できる見込みだと発表している。また2020年には、Appleもその後に続くとみられる。

「XMM 8160」

 Saadi氏は、「Qualcommは、5G規格を策定したり、5Gのみ対応の製品を実用化して市場投入したりする上で、先導的な役割を担っている。同社は2018年2月に、19社の顧客企業との協業により、5Gモデムチップセット『Snapdragon X50』を提供すると発表した。しかし、主にIntelや、Samsung、Huaweiなどの挑戦者たちが、独自開発したチップを使用するようになってきたため、その差は縮まりつつある」と述べている。

 Qualcommは、同社の別のRFフロントエンドモジュールを利用することにより、特に小規模な携帯端末メーカーからのビジネスにおいて指揮を執りたい考えだ。Intelは今のところ、自社開発のRFフロントエンドチップは発表していないが、BroadcomやQorvo、Skyworksなどのサードパーティ企業との協業により、5G RFリファレンス設計を手掛けるとみられる。

 Saadi氏は、「大手OEMは現在も、工業デザインに強い関連性があるRFフロントエンド設計において主導権を握りたいと考えている。OEMは規模が大きいため、RFサプライヤーに対して、コンポーネントのカスタマイズを依頼することが可能だ」と述べている。

 また同氏は、「小規模なOEMは、このような特権を持たないため、市販の部品で対応せざるを得ない。このため、RFインテグレーターによってもたらされるイノベーションに大きく依存せざるを得ない」と付け加えた。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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