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RISC-V、中国で勢力を拡大エコシステムも広がる(1/2 ページ)

今回開催されたイベントに参加した2社のベンダーが発表したレポートによると、中国では現在、RISC-Vの勢いが拡大しているという。

» 2018年11月19日 11時40分 公開
[Rick MerrittEE Times]

 今回開催されたイベントに参加した2社のベンダーが発表したレポートによると、中国では現在、RISC-Vの勢いが拡大しているという。台湾ベースのコアベンダーであるAndes Technology(以下、Andes)は、現在提供している6種類のコアについて詳細を明らかにした他、オープンソースの命令セットアーキテクチャを使用して開発を手掛けている4種類のコアについても説明している。また、中国の広州に拠点を置くGOWIN Semiconductor(以下、GOWIN)は、これらのコアを使用したFPGAのデモを披露した。

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 市場観測筋は、「全体的にみると、RISC-Vの出荷は、Armなどのライバル企業と比べるとごくわずかだが、導入が進んでエコシステムも拡大するなど、良い方向に向かっている」と見ているようだ。

 AndesのCTO(最高技術責任者)を務めるCharlie Su氏は、「中国では、ほぼ全ての企業がRISC-Vを必要としており、Armコアと同等の機能を搭載すべきだと考えている」と述べる。同社の売上高の30%は中国国内から得ているという。

 またSu氏は、「Andesは現在のところ、世界中で12社のRISC-Vコアライセンシーを確保している。その用途は、ストレージサーバや指紋認証、複数のAIアプリなど、多岐にわたる」と述べている。

 GOWINでセールス担当ディレクターを務めるScott Casper氏は、「中国には、プロセッサ向けにRISC-Vを導入する上で、大きな後押しが存在する」と指摘する。

 同氏は、「中には、FPGAを、今週(2018年11月12日の週)提供を開始する予定の組み込みコア『AndesCore N25』で使用する顧客企業もあるようだ。主に、コンピュータビジョンや音声認識アプリなどのバッファデータをサポートする、管理プロセッサとして採用している」と述べる。

 中国では、トップダウンのコンセンサス(意見の一致)により、RISC-Vアーキテクチャに対する関心が高まっている。RISC-V Foundationは最近、中国国内でアーキテクチャを推進すべく、経営幹部を1人迎え入れたところだという。

 Casper氏は、「GOWINはまず、3社の商用RISC-Vコアプロバイダーについて、そのツールと機能の成熟度や、IP(Intellectual Property)市場に対する理解度などを評価し、その中からAndes製品を採用した。もし、GitHubから直接採用していたとしたら、まだ解決方法を見つけられていなかっただろう。オープンソースコードは複雑な上、サポートも不足している」と指摘する。

 中国国内で大規模なビジネスを展開する台湾のSoC(System on Chip)ベンダーMediaTekの経営幹部は、イベントで講演に登壇したが、同社のRISC-V関連の計画についてはコメントを避けた。MediaTek USAの技術担当ディレクターを務めるShichin Ouyang氏は、「RISC-Vに関しては、ISA(命令セット)や他のリスク因子などを切り替えるための取り組みがあるため、最終的に安価になることはまずないだろう。しかし、選択肢の幅が広がれば、より健全な競争が展開されるようになると確信している」と述べる。

 MediaTekは、Andesの旧型の独自コアなど数多くのベンダーのプロセッサIPを、BluetoothやWi-Fiベースバンドに使用している。米国の市場調査会社であるThe Linley Groupで主席アナリストを務めるLinley Gwennap氏は、「Mediatekは現在、5〜15件のRISC-Vプロジェクトを進行中だと思われる」と述べている。

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