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押しボタンと組み合わせたタッチパネル、Zytronicが展示electronica 2018

静電容量タイプのタッチスクリーンを手掛けるZytronic(ザイトロニック)は、ドイツ・ミュンヘンで開催された「electronica 2018」で、同社が開発および製造するさまざまなタイプのタッチスクリーンを展示した。

» 2018年11月22日 13時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 静電容量タイプのタッチスクリーンを手掛けるZytronic(ザイトロニック)は、ドイツ・ミュンヘンで開催された「electronica 2018」で、同社が開発および製造するさまざまなタイプのタッチスクリーンを展示した。

 Zytronicは4つの市場に注力している。デジタルサイネージ、装置のタッチパネルなど産業機器、ATMなどの金融、ゲームなどのエンターテインメントだ。金融分野では、米国の大手ATMメーカーであるNCRとDiebold NixdorfがZytronicのタッチスクリーンを採用している。日本でも採用は進んでいて、JR東日本の飲料部門であるJR東日本ウォータービジネスが提供する飲料自販機に搭載されている。

 Zytronicでセールス&マーケティングディレクターを務めるIan Crosby氏は、同社のタッチスクリーンについて、耐久性と信頼性、適応性の3つを挙げる。Zytronicの製品は、ガラスの裏側に電極膜を貼り付けていて、ガラスは最大30mmまで厚くできる。30mmの厚さがあっても、問題なくタッチできるとCrosby氏は述べる。この厚みによって、過酷な環境下でも使用できる、堅ろうで信頼性の高いタッチスクリーンを実現できるという。

 適応性については、5型から90型まで1枚で対応できる点を挙げる。さらに、形状も自由自在だ。カーブがついたもの、ネジ留め用の穴を開けたものなど、顧客の要求に応じて製造できる。実際にカスタマイズの製品の方が多いとCrosby氏は述べる。

Zytronicが「electronica 2018」で展示したさまざまなタッチスクリーン。曲がっているもの、厚いもの、特殊な形状をしたものなどがある(クリックで拡大)

 Zytronicの製品は、電極の材料としてITOではなく銅を使う。銅線の直径は10μmと、髪の毛(直径約60〜80μm)よりも細い。銅はITOよりも抵抗値が低いので、タッチスクリーンを大画面化しやすい。フォトマスクも不要なので、形状の変更にも柔軟に対応できる。さらに、Zytronicは「Zyfilm(ザイフィルム)」という樹脂フィルムも持っており、それを使えばフレキシブルなタッチスクリーンも製造できるという。

 electronicaでは、ガラスでできたメカニカルなボタンと組み合わせたタッチスクリーンも展示した。Crosby氏は、「工場の装置や自動販売機など、タッチスクリーンを搭載したいが、ボタンは、押したことがよく分かるメカニカルなものがよい、というニーズは多い。」と述べた。

ガラスのメカニカルなボタンを組み込んだタッチスクリーン。ボタンの下にマイクロスイッチがあり、それを直接PCBに接続している(クリックで拡大)
electronicaでは、ボタンを組み込んだタッチスクリーンでゲームをするデモを披露した

 Zytronicは、設計、製造ともに英国内で行っているが、そのうち95%は輸出している。出荷先は、全体の40%が欧州、25%が北米、35%が日本を含めたアジアとなっている。Crosby氏は、「われわれにとって日本は非常に重要な地域。市場規模は中国も大きいが、中国で現在求められているのはスマートフォンやタブレットなどコンシューマー製品が多い。われわれのターゲット分野で大きな市場を持っているのは、アジアでは日本や韓国だ」と述べた。

ZytronicのIan Crosby氏

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