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2019年も2割増収を狙う汎用半導体専業Nexperiaの戦略Frans Scheper CEOインタビュー(1/3 ページ)

ディスクリート(個別半導体)、汎用ロジックなど、いわゆる汎用半導体製品を専門とするNexperia(ネクスペリア)は2019年、売上規模を20%成長させる方針だ。業績好調の理由や今後の成長に向けた経営戦略、さらには日本での事業展開について、Nexperia CEOを務めるFrans Scheper氏と、Nexperia日本支社長を務める国吉和哉氏にインタビューした。

» 2018年11月29日 13時30分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

 ディスクリート(個別半導体)、汎用ロジックなど、いわゆる汎用半導体製品を専門とするNexperia(ネクスペリア)は2019年、売上規模を20%成長させる方針だ。

 2017年2月にNXP Semiconductorsのスタンダードプロダクト事業部門が独立する形で発足した同社は、設立以来、2年連続で20%近い増収を達成する見込みであり、2019年もその成長を維持することになる。

 業績好調の理由や今後の成長に向けた経営戦略、さらには日本での事業展開について、Nexperia CEOを務めるFrans Scheper氏と、Nexperia日本支社長を務める国吉和哉氏にインタビューした。

Nexperia CEO Frans Scheper氏(右)と日本支社長 国吉和哉氏

積極設備投資と主力の自動車市場の拡大

EE Times Japan(以下、EETJ) 2017年2月の独立から、ここまでの業績を振り返ってください。

Frans Scheper氏 2017年(暦年)の売上高は、13億米ドル強で、前年比で20%近いの成長を果たした。2018年についても、2017年同様の成長率を達成できる見込み。市場の平均を上回る成長であり、シェアも2017年、2018年とより高まってきている。業績は極めて、順調に推移している。

EETJ シェア向上を伴う成長を実現できた要因を教えてください。

Scheper氏 理由としてはいくつかあるが、一つは、近年、積極的な設備投資を実施してきたことが挙げられる。2017〜2018年は、需要が旺盛で、材料が高騰、不足するほどであった。そうした中で、われわれは独立以来、設備投資規模を拡大してきた。現状、売上の10%程度を設備投資に充て、その7割以上を生産能力向上に費やしてきた。競合を見渡しても、これほど、積極的に投資を行っているメーカーはないだろう。生産能力の増強により、販売機会を逃さなかった点がシェア拡大につながった1つの要因だろう。

2014〜2018年のNexperia(旧NXP Semiconductorsスタンダードプロダクト事業部門)の設備投資推移(左)と、2018年における設備投資内訳 (クリックで拡大) 出典:Nexperia

EETJ 他の要因は、何でしょうか。

Scheper氏 われわれが特に注力してきた自動車市場での需要が大きく拡大したことも一つの要因だ。

 Nexperiaとしては、設立2年足らずの新しい企業だが、Philips時代、NXP Semiconductors時代を含め、ディスクリート、汎用ロジック、MOSFETの分野で長い歴史と実績を持ち、古くから自動車分野を得意としてきた。品質についても、全ての製品で、AEC-Q101/AEC-Q100を取得するなど、自動車品質が基本になっている。

 その自動車市場では、さまざまな電子化が進み、半導体搭載点数が大きく伸びている。自動車向けを得意にするNexperiaにとって、追い風であり、シェア向上の一因だ。

EETJ 現状、自動車向け売上高は、全社売上高の何割程度を占めるのですか?

Scheper氏 代理店経由で販売しているケースも多く、正確な数字はつかめないが、おおよそ全社売上の4〜5割程度は、自動車向けになっているだろう。自動車での需要増を考えれば、今後、さらに自動車向け比率は高くなるだろう。

EETJ 自動車向け比率が極端に高くなり、自動車業界への依存度が高くなってしまうと、経営上のリスクにはなりませんか?

Scheper氏 特定顧客への依存度が高くなれば、リスクになるが、われわれは多くの自動車メーカー、電装品メーカーとの取引があり、そうしたリスクはほとんどない。また、自動車以外にも、従来の主力であったモバイル機器向けや、産業用途などへの拡販も継続して強化しているので、懸念などはいっさいない。

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