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車メーカー/ティア1はSoC設計に目を向けるべき自動運転時代の競争に打ち勝つために(2/2 ページ)

» 2018年12月03日 09時30分 公開
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インターコネクトのルネサンス

 過去、インターコネクトは、設計が製造工場に送られる直前になってからパズルにはめられる最後のピースでした。それが今では、自動車向けチップはどんどん大きくパワフルになり、アルゴリズム固有のハードウェアアクセラレータを実行するまでになっています。さらに、自動車向けSoCには複数のセンサーやカメラを制御するいくつものカスタムIPが組み込まれています。1つのチップ上で全てのプロセッシングエレメントをつなぐ従来の方法では、もはや対応しきれなくなってきています。

 大規模で複雑な自動車向けSoCにおいてオンチップインターコネクトが重要な役割を果たしているもう1つの設計領域がメモリイノベーションです。自動車向けSoCのアーキテクトたちは、低速で電力を食うDRAMアクセスを徐々に避けつつあります。そしてその代わりに、直接的なソフトウェア管理によるオーバヘッドなしにプロセッシングエレメント間でデータをより迅速に共有できるキャッシュコヒーレンスを採用しています。

 ひいてはこれが、データフロー全体を最適化し、非決定性自動車向け設計の帯域幅および遅延要件に適合したQoSを確保することに役立っています。キャッシュコヒーレントか非コヒーレントかにかかわらず、オンチップインターコネクトはメモリアーキテクチャと切っても切れない関係にあるのです。

ISO 26262準拠のインターコネクトIPを使用するとで、チップメーカー、ティア1サプライヤー、自動車OEMは機能安全要件関連の作業を大幅に軽減できる (クリックで拡大) 出典:Arteris IP

 自動車向けSoC設計のインターコネクトを詳しく見ていくと、オンチップ通信がシステム全体の性能、安全性、コスト、電力効率の向上といかに密接に関係しているかが分かります。IPサプライヤーがインターコネクト技術のライセンスをチップメーカーに供与し、チップメーカーがティア1サプライヤーに自動車向けSoCを提供するというバリューチェーンを想像してみてください。

 自動車OEMとティア1サプライヤーの両者ともがもっと深い部分に目を向け、自分たちがチップメーカーから入手しようとしているSoCでADASおよび、自動運転の機能安全要件を満たせることを確認すべき理由はそこにあります。

 そうすることで貴重な時間をやり直しに費やさずに済むでしょう。さらに重要なことは、自動車OEMが安全で信頼できる車を提供できるようになるということです。すでに製造、システムエンジニアリング、メカニカルエンジニアリングの能力では文句の付けようのない自動車OEMにとって、SoCは新たな挑戦分野となるに違いありません。

筆者紹介

Kurt Shuler/Arteris IP マーケティング部門バイスプレジデント

 Arteris IP マーケティング部門バイスプレジデント。インテルおよびテキサスインスツルメンツのモバイル、コンシューマ、エンタープライズ各部門で、IP、半導体、ソフトウェアのマーケティングを推進してきた長年の経験を持っています。ISO 26262/TC22/SC3/WG16作業グループの米技術諮問グループ(TAG)のメンバーとして、半導体および半導体IPの安全規格策定に携わっています。


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