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» 2018年12月12日 10時30分 公開

福田昭のデバイス通信(172) Intelの「始まり」を振り返る(5):Intelの創業4年目(後編)、最終損益が黒字に転換 (1/2)

Intelの創業4年目となる1971年。後編では、赤字が急速に縮小し、創業以降で初めての最終黒字となるまでの経緯を追う。

[福田昭,EE Times Japan]

1971年は製品売り上げが前年の2.3倍に増加

 Intelの公式文書である「年次報告書(アニュアルレポート)」をベースに、Intelの創業当時の活動を創業年から1年ずつ記述する連載の第5回である。前回と今回は創業4年目である1971年の活動と業績を前後編で解説している。前回は主に製品開発や販売、生産などの活動をご説明した。今回は、主に業績(決算内容)をご報告する。

1971年の業績ハイライト。Intelの年次報告書(アニュアルレポート)を基に作成(クリックで拡大)

 Intelの1971年における総収入は941万1821米ドルである。内訳は製品売り上げが916万5879米ドル、利息収入が17万3316米ドル、ロイヤリティー収入が7万2626米ドルとなっている。総収入は前年(1970年)の2.22倍、製品売り上げは前年の2.33倍と大きく伸びた。

 対する総経費は982万4245米ドルである。内訳は販売費が606万2539米ドルで総経費の62%を占める。研究開発費は152万9452米ドルで前年(1970年)と比べて18%増えた。マーケティング費および一般管理費は223万2254米ドルである。総経費は前年の1.73倍に増えた。

 総収入から総経費を差し引いた損益は赤字である。損失額は41万2424米ドルで、前年の28%に縮小した。

技術供与収入による特別利益によって最終損益が黒字に

 この他、特別利益として142万7504米ドルを計上した。特別利益の計上により、最終損益が初めて黒字になった。最終利益は101万5080米ドルである。

 特別利益の大半は、カナダの半導体製造企業Microsystems International Ltd.(MIL)に対する製造技術の供与によって得た収入によるものだ。具体的には、Intelの多結晶シリコンゲートMOSFET製造技術をMILに有償で供与した。MILはIntel製品のセカンドソース品を製造し、自社ブランドで販売した。代表的なセカンドソースの対象製品は、DRAM「1103」とマイクロプロセッサ「4004」、マイクロプロセッサ「8008」である。

 なお、本シリーズの第3回で述べた「カナダの製造企業」とはMILのことである。製造技術の供与によってIntelは1970年に50万米ドルを得たことを述べた。IntelとMILの製造技術供与契約には製造歩留まりに関するインセンティブの条項があり、製造歩留まりが低かった場合はIntelが金銭を支払い(返却)、製造歩留まりが高かった場合はMILが金銭を支払う(成功報酬)ことになっていた。この条項と1971年の特別利益から、MILにおける製造歩留まりは非常に高い水準になったものと推定できる。

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