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AMDがCESの基調講演に登壇、7nmチップの詳細を語る十数年ぶりの登壇で大注目(1/2 ページ)

AMDのプレジデント兼CEOを務めるLisa Su氏が、「CES 2019」(2019年1月8〜11日、米国ネバダ州ラスベガス)で基調講演に登壇した。同社が見本市に登場するのは、2002年以来のこととなる。

» 2019年01月15日 11時30分 公開
[Dylan McGrathEE Times]

CESで注目を集めたAMDの基調講演

 AMDのプレジデント兼CEOを務めるLisa Su氏が、「CES 2019」(2019年1月8〜11日、米国ネバダ州ラスベガス)で基調講演に登壇した。同社が見本市に登場するのは、1979年から2003年まで開催されていたコンピュータ関連の展示会「Comdex」において、2002年に、当時CEOを務めていたHector Ruiz氏が基調講演に登壇して以来のことであるため、一部のアナリストたちは、非常に重要視している。そしてSu氏は、その期待を裏切らなかった。

 同氏は、「当社は2019年2月に、7nmプロセスを適用したGPU『Radeon VII』の提供を開始する。また2019年第1四半期には、第2世代のモバイルプロセッサ『Ryzen』が、超薄型のゲーム用ノートPCに搭載される見込みだ」と述べた。Su氏は、AMDの第3世代のデスクトッププロセッサ「Ryzen」と、第2世代のサーバプロセッサ「EPYC」についても説明し、いずれも7nmプロセスを適用して、2019年後半には提供を開始する予定だとしている。

 Su氏が2019年1月9日に行った基調講演は、AMDにとっては久しぶりの講演となることから、アナリストたちから大きな注目を集めている。ただし、少なくともその内容の一部には、既に以前に発表されているものも含まれるようだ。AMDは、2018年11月に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催されたイベントにおいて、Radeon VIIと7nmプロセス適用サーバプロセッサ「Rome」(開発コードネーム)について初めて発表した。Romeは、AMDのx86マイクロアーキテクチャ「Zen 2」をベースとする。また、第2世代のモバイルプロセッサであるRyzenに関しては、今回のCES開催に先立ち、2019年1月6日に既に発表済みだ。

 しかし、Su氏は基調講演で、これらの3つのチップについて、さらなる詳細を明らかにした。

「Radeon VII」を搭載したグラフィックボードを掲げるLisa Su氏 出典:CES

 米国の市場調査会社であるTirias Researchの主席アナリストを務めるKevin Krewell氏は、「これはAMDにとって、Intelから指導的役割を奪うための画期的な出来事だといえる」と述べる。

 実際のところ、AMDは2019年2月に、7nmシリコンの提供を開始する予定であることから、最先端のプロセス技術でIntelとNVIDIAの両社を打ち負かすだろう。また、AMDは今回、CESの基調講演に再び登壇することによって、ライバルであるIntelを出し抜いた。Intelは今回、熱望していたCES基調講演への登壇を、LG Electronicsに奪われている。なおIntelは、CEOであるBrian Krzanich氏が2018年6月に突然辞任を発表した後、まだその後任を決めかねたままの状態だ。CESでは、2019年1月7日に記者会見を行った。

 AMDの第2世代アーキテクチャ「Vega」をベースとしたRadeon VIIは、同社の既存の最上位品種であるRadeonと比べて、2倍のメモリを搭載し、メモリ帯域幅も2倍に達する。また、現行製品と比べて、ゲーミング性能を最大で29%、コンテンツ制作性能を最大で36%、それぞれ向上させているという。

 また、60基のCU(Compute Unit)と、3840のストリームプロセッサを搭載し、最大1.8GHzで動作。16GBのHBM2メモリと、1テラバイトのメモリ帯域幅を備えている。

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