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ウイルスの侵入ポイントを探る、車載向けテストKeysight Worldでデモ展示(1/2 ページ)

キーサイト・テクノロジーは2019年7月11日、同社のユーザー向けイベント「Keysight World」で、車載部品向けのサイバー攻撃テストソリューションや、パワー半導体の動特性を評価するアナライザーなどのデモを行った。

» 2019年07月17日 11時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 キーサイト・テクノロジーは2019年7月11日、同社のユーザー向けイベント「Keysight World」(同年7月11〜12日)の開催に併せて、記者説明会を行った。

Keysightプレジデント兼CEOのRon Nersesian氏

 米国本社のKeysight Technologies(以下、Keysight)でプレジデント兼CEOを務めるRon Nersesian氏は、「日本はKeysightにとって最も重要な市場の一つ」と強調する。「日本には大手自動車メーカーがいくつもあり、自動車の開発で先行している。当社の注力分野である5G(第5世代移動通信)についても、2019年9月から始まる『ラグビーワールドカップ2019』ではプレサービスが、2020年の東京五輪では商用化が本格化する。その実現に向けてサポートすることがKeysightの役割だと思っている」(同氏)

 Nersesian氏は、顧客の成功に貢献すべく、4つの取り組みを重点的に行ってきたと述べる。まずは、ハードウェア中心からソフトウェア中心の製品を提供すること。そして、オシロスコープ、スペクトラムアナライザーといった製品別の組織ではなく、エンドマーケット別にKeysightの組織を再編成したこと。「通信向け、自動車向け、IoT(モノのインターネット)向けといったように、マーケットごとにどの製品も提供できるようにした。顧客にとっては、この方がシンプルで分かりやすい」(Nersesian氏)

 さらに、Keysightとして本格的に業務を開始した2014年以来、研究開発費も増加した。売上高全体において研究開発費が占める割合は、2014年は約12%だったが、2019年は約16%となっている。さらに、Anite、Scienlab、Ixiaなど、戦略的な買収も継続的に行ってきた。

 こうした取り組みの結果、Keysightの2018年度における売上高は、前年比22%増となる39億米ドルを達成した。

サイバー攻撃に対する脆弱(ぜいじゃく)性をテストする

 Keysight Worldでは、新製品のデモも展示した。「オートモーティブ・サイバーセキュリティ・プログラム」は、ECU(電子制御ユニット)やカーナビゲーションシステムなどについて、サイバー攻撃に対する脆弱(ぜいじゃく)性をテストする製品だ。自動車メーカーやティア1サプライヤーに向ける。

 デモでは、市販のカーナビを基地局エミュレーターに接続し、セルラー通信を模擬。ウイルス侵入テストのシナリオを、エミュレーターを介して走らせ、脆弱性を調べたところ、オープンになっているポートが即座に見つかった。なお、テストシナリオに使用するデータベースについては、Ixiaの専門チームが最新のウイルスなどの情報を常に収集し、定期的にアップデートしているという。このデータベースは、サブスクリプションモデルとして提供される予定だ。

左=デモの様子/中央=「Result: 1 open ports」と書かれている(赤線部分)が、これは、侵入できるポートが1個見つかったということ。つまり、テスト対象となっているカーナビには、サイバー攻撃に対する脆弱性があることになる/右=外部からカーナビをシャットダウンできてしまった……(クリックで拡大)
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