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「Wii U」はルネサスの救世主となるか?ビジネスニュース 企業動向

任天堂の新製品「Wii U」が日本でも2012年12月初旬に発売される。その設計面での特徴は、マルチコアCPUとGPUを1パッケージ化したMCM(マルチチップモジュール)を採用している点だ。そして、そのGPUの製造を請け負っているのが、現在、業績の悪化に苦しんでいるルネサスである。Wii Uは、同社の今後を大きく左右する可能性がある。

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 筆者は大のゲーム好きというわけではない。しかし、任天堂の新製品「Wii U」には注目している。同製品は、米国では2012年11月18日に発売された。それに続き、欧州とオーストラリアでは同年11月30日に、日本では同年12月8日に発売される予定である。このWii Uに筆者が注目する理由は、同製品がルネサス エレクトロニクスの今後を大きく左右する可能性があるからだ。

 Wii Uでは、マルチコアCPUとGPUを1パッケージ化したマルチチップモジュール(MCM)を採用していることが明らかにされている。このMCMには、IBMが45nmプロセスで製造するCPUダイと、AMD(Advanced Micro Devices)が設計してルネサスが製造するGPUダイが収容されている。

 2010年にルネサス テクノロジと経営統合する以前、NECエレクトロニクスは、任天堂の「ゲームキューブ」や「Wii」向けにGPUの供給を行っていた。その後、欧州のエレクトロニクス業界は債務危機の長期化に直面し、中国市場も低迷が続いている。また、尖閣諸島の問題の再加熱に端を発し、中国では日本製品の不買運動が起きた。この問題は、ルネサスの主要顧客である日本の自動車メーカーにも大きな打撃を与えた。そうした状況の中、Wii Uにルネサスが製造する製品が採用されたことは、業績の悪化に苦しむ同社にとっては光明だと言える。

 ルネサスが2012年9月30日に行った同年第2四半期の決算報告では、Wii U向けGPUの売上高が計上されている。同四半期のSoC(System on Chip)の売上高は、同年第1四半期の344億円から20.6%増となる550億円に増加した。その増加分のほとんどを任天堂向けGPUが占めていると考えられる(関連記事:ルネサスが“アミューズメント向けSoC”の大型案件を受注、下期業績は大幅改善)。


ルネサスの決算表 出典:ルネサス エレクトロニクス

 異なるメーカーが製造したダイを1つのパッケージに収めてMCM化するという技術は目新しいものではない。決して容易ではないこの技術だが、任天堂のエンジニアリングチームは努力の末にさまざまな課題を克服し、MCM化を実現した。それにより消費電力と遅延を低減するとともに、ゲーム機全体の小型化に貢献することも可能になったのである。ちなみに、任天堂は同社のWebサイトで、Wii Uにおける設計面での取り組みについて、同社社長の岩田聡氏がハードウェア開発の責任者/メンバーに対してインタビューする形で紹介している。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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