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化学電池と物理電池を超える“量子電池”、「バテナイス」とは電気自動車(1/2 ページ)

半導体テスター用プローブカードの大手企業として知られる日本マイクロニクスが、新構造の二次電池「バテナイス」の実用化に向けて開発を加速している。バテナイスは、リチウムイオン電池などの化学電池や、電気二重層キャパシタなどの物理電池を上回る特性を持つ“量子電池”だという。

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日本マイクロニクスの「バテナイス」の試作品

 日本マイクロニクスという企業が、「第5回国際二次電池展」(2014年2月26〜28日、東京ビッグサイト)に出展した。同社は、回路や電極を形成済みの半導体ウエハーの試験に用いられるプローブカードの大手である。エレクトロニクス業界でも、半導体製造に関わらない限りあまり耳にすることはない、まさに知る人ぞ知るといった企業だ。

 その同社がなぜ二次電池の展示会に出展したのか。二次電池を試験するための新たな装置や部品を紹介していると考える向きもあるかもしれない。しかし、今回展示したのは二次電池そのもの。それも、新たな理論に基づいた、従来とは異なる新構造の二次電池を披露したのだ。

日本マイクロニクスのWebサイトのトップページ
日本マイクロニクスのWebサイトのトップページ。主力事業のプローブカードが前面に押し出されている 出典:日本マイクロニクス

 二次電池の名前は「battenice(バテナイス)」。リチウムイオン電池のように、化学反応に基づいて充放電を行う化学電池や、電気二重層キャパシタのように電荷(イオン)の移動によって充放電を行う物理電池を超える特性を備えているという。充放電の仕組みそのものは物理電池と同じく電荷の移動によるものだが、量子技術を活用していることから、同社では「量子電池」と呼んでいる。

 展示会場では、バテナイスの試作品や説明パネルの撮影が許可されなかったが、説明員に取材することはできた。以下に、バテナイス開発の背景やその特徴、開発目標、現在の開発進行状況などについて紹介する。

半導体の微細化にプローブカードを対応させるためのMEMS技術がベース

 まずは開発の背景から。先述した通り、日本マイクロニクスの主力事業はプローブカードである。半導体ウエハーに形成された電極にプローブカードの針(カンチレバー)を接触させることで、各ICチップの電気的検査による良否判定が可能になる。

 2000年代前半までこのカンチレバーは機械加工で製造するのが主流だった。機械加工とはいえ、1枚のプローブカードに搭載されるカンチレバーの数は3000本に上る。しかし、半導体の微細化が進展することによりカンチレバーの搭載数は急激に増大。現在では20倍の6万本に達する例もあるという。

 このカンチレバー搭載数の増大に対応するため、日本マイクロニクスが導入したのがMEMS技術である。機械加工からMEMS技術に移行することで、より微細なカンチレバーを製造し、プローブカードに搭載できるようになったのだ。

 このMEMS技術を開発する上でさまざまな技術も培われた。大面積薄膜多層積層技術や高精度接合・アセンブリー技術、信頼性評価・計測・検査技術などである。これらの高度な技術をプローブカードだけに使うのはもったいない。そこで、プローブカード以外への展開を模索することになった。

 そして2011年ごろに、バテナイスの理論と構造の特許を持つグエラテクノロジーと提携を結び、バテナイスの実用化に向けた開発を開始したのである。

グエラテクノロジーの「量子電池」を実用化

 グエラテクノロジーの持つ基礎技術は「酸化物半導体の光励起構造変化による新機能発現」である。具体的には、酸化物半導体への紫外線の照射で、そのバンドギャップ内に電子を捕まえる電子捕獲用準位を形成し、電子を入れたり出したりすることで発現する機能を活用する。

 バテナイスは、この電子捕獲用準位に電子を入れることで充電が、入れた電子を出すことで放電ができるので二次電池として動作する。電子の移動を基にしているので物理電池の1種だが、電気二重層キャパシタのように電極表面に電荷が集まるのではなく、量子力学に含まれるバンド理論に基づいたバンドギャップと電子捕獲用準位を使って電子を移動していることから「量子電池」と呼称している(詳細はグエラテクノロジーのWebサイトを参照してほしい)。

 ただし、グエラテクノロジーの量子電池を実用化するには、想定通りの物性を持つように、酸化物半導体を成膜したり、紫外線を照射したりするための技術が必要になる。そこで日本マイクロニクスは、先述したMEMS技術を量子電池を実用化するために活用し、2013年11月にバテナイスとして発表したのだ。

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