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インターネットルータの宛先検索と同じ仕組みを光パケット交換システムで「世界で初めて成功」有線通信技術

ルネサス エレクトロニクスと情報通信研究機構(NICT)は2014年3月、インターネットルータの宛先検索と同じ仕組みを実装した光パケットヘッダ処理装置を開発し、IPアドレスを利用した光パケット交換実験に「世界で初めて成功した」と発表した。

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 ルネサス エレクトロニクスと情報通信研究機構(NICT)は2014年3月、インターネットルータの宛先検索と同じ仕組みを実装した光パケットヘッダ処理装置を開発し、IPアドレスを利用した光パケット交換実験に「世界で初めて成功した」(ルネサス/NICT)。インターネットのIPアドレスを利用した光パケット交換が可能になったことで、「光パケット交換システムの実用化が加速することが期待される」という。

 インターネットでは現在、光ファイバーで伝送された光信号は、ネットワークの分岐点であるルータで、全て電気信号に変換され、宛先別に振り分けられ、再び光信号に戻されて光ファイバーで伝送されている。宛先別振り分けのために光電変換を繰り返すことなどから消費電力が増える他、伝送速度を高速化する上での課題となっていた。


インターネットルータの内部構造 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス/情報通信研究機構

 一方で、交換処理を光信号のまま行う光パケット交換システムが実現できれば、低消費電力、高速伝送を実現できる。


光パケット交換システムの内部構造 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス/情報通信研究機構

 だが、パケットを宛先別に振り分けるための宛先検索処理やパケットの種類、量を蓄積する統計情報蓄積処理、パケット伝送の経路制御などのネットワーク制御処理が複雑になるという課題があった。

 ルネサスとNICTは、今回、光ネットワークの宛先IDに宛先IPアドレスの一部をコピーして使用し、最長一致検索*)に従い宛先ネットワークアドレスを利用した経路表を検索する特徴を持つネットワーク管理が簡単な宛先検索方式を光パケットヘッダ処理装置に実装。光パケット交換実験に成功したという。なお、従来の光パケット交換に用いられた宛先検索方式は、IPアドレスの対応する光ネットワーク内での固有IDを管理、付与し、全体一致検索に従い経路表を検索する複雑なものだった。


今回実装した宛先検索処理方式(左)と従来方式のイメージ (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス/情報通信研究機構

 宛先検索方式を、光パケットヘッダ処理装置に実装するにあたり、宛先検索LSIと統計情報蓄積LSIを開発。いずれも40nmeDRAMプロセスを用いて製造した。宛先検索LSIは、432Mビット、23ビットフルルートエントリのメモリ容量を実現し検索性能は250Mサーチ/秒、転送速度は134Gビット/秒で消費電力は、ルータに組み込まれているTCAM(Ternary Content Addressable Memory)技術に比べ、1/20という。統計情報蓄積LSIは、メモリ容量144Mビットでアクセススピードは5n秒。転送速度は最大230Gビット/秒で消費電力は「従来SRAM製品に比べ3/5」(ルネサス/NICT)という。


ヘッダ処理装置内部の処理 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス/情報通信研究機構

 「今回の実験では、宛先検索だけでなく、交換に必要な宛先情報にインターネットと同じアドレス体系を利用していることから、インターネットとの親和性が高く、大規模ネットワークへの対応が可能」(ルネサス/NICT)としている。

 今後、NICTは、ネットワークの経路制御機能について研究開発を進め、光パケット交換システムの機能向上を図る方針。ルネサスは、光パケット交換システムを組み込んだインターネットを高速かつ低消費電力で支える新しいLSIを開発していく。加えて、ルネサスとNICTは、「IPv6インターネットへの実用化を視野に、宛先検索機能の高度化や経路情報処理の効率化による一層の省電力化を進めていく」としている。

*)1と0とx(0または1のどちらでもよい)から構成されるビット列が複数登録されたシステムに対し、検索キーに対し正しく一致するビット列の中からxの数が最も少ないビット列を探し出す方式。インターネットのルータでの宛先検索に使われる場合、検索キーが宛先IPアドレス、ビット列が経路表に保存された各エントリの情報となる。

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